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景品表示法に違反する「おとり広告」とは?具体例と罰則について弁護士が解説

1.「おとり広告」とは?

「おとり広告」とは、実際には購入できない商品やサービスをあたかも購入できるかのように広告表示することで消費者を誘引し、広告商品・サービスとは異なる別の商品やサービスを売りつけようとするマーケティング手法です。
「おとり広告」は、消費者を誤認させて自主的・合理的な選択を阻害するおそれがあるものとして、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法/景表法)に基づいて規制されています。

 

2.景品表示法が定める「おとり広告」の類型

景表法第5条第3号に基づいて「おとり広告に関する表示(平成5年公正取引委員会告示第17号)」は、広告商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず事業者が消費者(顧客)を誘引する手段として購入できるかのような表示を不当表示と規定して禁止しています。
これには(1)~(4)の4類型があります。

(1)準備なし

「広告商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていないなど実際には取引に応じることができない場合」
具体的には、①「目玉商品」の広告商品が店頭に陳列されていない場合、②広告商品の引渡に通常よりも時間がかかる場合、③広告記載の販売数量を準備できない場合、④広告に写真で掲載された商品を準備できない場合、⑤複数の店舗で販売すると広告したが一部店舗で広告商品を取り扱わない場合、⑥広告商品が売却済である場合、⑦広告商品が処分を委託されていない他人の所有物である場合などです。
なお、それが事業者の責に帰すべき事由以外によるものと認められ、かつ、広告商品の取引を申し込んだ顧客に対して広告・ビラ等において申し出た取引条件で取引する旨を告知するとともに希望する顧客に対して遅滞なく取引に応じているときには、不当表示に当たらないものとして取り扱われています。

(2)著しい数量限定

「広告商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合」
ア.「著しく限定」
供給量が「著しく限定」されているとは、具体的には広告商品の販売数量が予想購買数量の半数にも満たない場合をいいます。予想購買数量は、その店舗において、従来、同様の広告・ビラ等により同一又は類似の商品・サービスについて行われた取引の申出に係る購買数量、その広告商品の内容や取引条件などを勘案して算出します。
イ.「明瞭に記載されていない場合」
例えば「数に限りがあります」「早い者勝ち」「売切れ御免」「数量限定」など単に販売数量が限定されている旨を記載しただけでは、限定の内容が明瞭に記載されているとはいえません。

(3)期間限定・個数制限

「広告商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合」
実際の販売日、販売時間等の販売期間、販売の相手方、顧客1人当たりの販売数量が、その広告・ビラに明瞭に記載されていなければならず、これらについて単に限定されている旨の記載だけでは、限定の内容が明瞭に記載されているとはいえません。
例えば、顧客1人当たりの販売数量に制限がある場合は、「お一人様3点限り」のように表示すればOKです。

(4)取引妨害

「広告商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われるなど実際には取引する意思がない場合」
具体的には、①広告商品を顧客に対して見せない又は広告やビラに表示したサービス内容を顧客に説明することを拒む場合、②広告商品に関する難点をことさら指摘する場合、③広告商品の取引を事実上拒否する場合、④顧客が広告商品以外の商品を購入する意思がないと表明したにもかかわらず他の商品を重ねて推奨する場合、⑤広告商品の取引に応じたことにより販売員が不利益な取扱いを受けるとされている事情の下において他の商品を推奨する場合などです。
なお、広告商品・サービス以外の商品やサービスを一切提案してはいけないという訳ではありません。ただ、他の商品の提案後も顧客が依然として広告商品の購入を希望しているのであれば、その提案を取り下げる対応をしないと「おとり広告」と判断されるリスクがあります。

 

3.「おとり広告」と判断されないためのポイント

広告商品・サービスが著しく限定されているにもかかわらず「売切れ御免」「数量限定」等の文言のみを表示し限定の内容が明瞭に記載されていない場合は、おとり広告と判断されるリスクがあります。
「売切れ御免」「数量限定」等という文言を広告に使用することは問題ありませんが、必ず限定されている商品を特定した上で、販売数量などの限定内容を消費者が認識できるよう明瞭に表示することがポイントです。
例えば「●●メーカー製品3割引」「■■製品5割引から」と広告に表示する場合、実際には当該割引による販売数量が著しく限定されている商品があるならば、その商品を特定して販売数量を明瞭に表示するべきです。
また、顧客1人当たりの供給量に制限がある場合「お一人様3点限り」のように表示すると良いです。
なお、(1)~(4)の類型に概当したからといって、直ちに景表法違反の「おとり広告」になるわけではありません。あくまでも、事業者が不当に顧客を誘引する手段として用いた場合に景表法違反となります。
したがって、例えば、単に新規開業したお店の名前を広く知ってもらうために数量限定の目玉商品を掲載したが、想定以上に顧客が殺到し、在庫不足に陥ってしまったというだけであれば、不当表示としての「おとり広告」には該当せず、景表法に違反しません。

 

4.景品表示法違反となった場合の罰則

事業者の「おとり広告」が不当表示の場合、消費者庁が、関連資料の収集、事業者への事情聴取などの調査を実施します。
調査の結果、景表法に違法すると認められた場合、消費者庁から、①不当表示により消費者に与えた誤認の排除、②再発防止策の実施、③今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる「措置命令」が下されます。
措置命令に従わない場合、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、情状により拘禁刑と罰金の両方が科される可能性があります。

 

5.弁護士に依頼するメリット

(1)弁護士への相談を勧める理由

「売り切れ御免」「数量限定」などのプレミアムな商品は、消費者にとって魅力的で購買意欲を高める効果が期待できるので、これらを広告に利用したいところです。
しかし、広告表示の仕方によっては「おとり広告」と判断される可能性があるため、広告表示に関する知識がないと景表法に違反して措置命令、罰則、さらにはSNSやマスコミ報道で拡散されることによって事業者に対する信頼やイメージが低下し事業が悪化してしまうリスクがあります。
法律の専門家である弁護士であれば、「おとり広告」はじめ広告に関連する数多くの規制法規に幅広く目配りして、事前のリスク予防からトラブル発生時における適切な対応までオールマイティに問題を解決することができます。

(2)森大輔法律事務所にできること

森大輔法律事務所は、景表法など広告表示に関する法的問題のサポートに力を入れて取り組んでおります。実際の具体的なケースに応じて、適切な対策をとることができます。
具体的には、
①法律相談~広告のチェック
広告に法的な問題がないか、複数の弁護士でダブルチェックします。
表示・セリフ・ナレーション等を丁寧に確認し、必要に応じて消費者の誤解を招かないよう注釈の追加や魅力的な言い換えのご提案もしております。
②社内研修セミナーを開催
広告担当者を対象とした薬機法や景表法のポイントを弁護士がわかりやすく伝えるセミナーを開催して、役立つ知識をお伝えしております。
③消費者庁やマスコミへの対応
万一、トラブルが発生した場合には、スピーディに弁護士が対応サポートします。
④「意見書」の作成
広告が景表法に抵触していないか等について、弁護士が意見書を作成いたします。

(3)24時間いつでも問い合わせOK!

森大輔法律事務所は、広告に関する御相談や御依頼を10年間で数多くお受けし、インパクトある適正な広告づくりのサポートに力を入れております。
・制作した広告に法的問題がないか不安で悩んでいる方
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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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