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A 全員に500円キャッシュバックというキャンペーンは、実質的に販売価格から500円の値引きを受けているのと同じと言えます。この値引きについては、「正常な商習慣に照らして値引きと認められる経済上の利益」に当たります。そのため、そもそも景表法上規制の対象となる「景品」に含まれないため、景表法の規制は及ばないということになります (景表法2条3項及び内閣総理大臣告示第1項但書)。
A まず、単にアンケートに回答しただけの消費者に対して景品をプレゼントする場合も、景表法上の「景品等」として景表法上の規制が及ぶかが問題となります。
この点、アンケートの回収率を高めようとする目的であっても、「顧客を誘引するための手段として」行われたものとして、「景品等」に当たるとされる場合があります。
今回の企画でも、入場料の必要なイベントにおいて、来場者を対象としたアンケートの回答を求めるため、経済上の利益を提供するものです。したがって、主催者側に顧客を誘引するための手段とする意図がなくても、「景品等」に当たるとされる可能性があります。
では、次にこの企画が景表法上どう規制されるかという点ですが、この企画は、 アンケート回答者のうちから、抽選で景品をプレゼントするものですから、いわゆる一般懸賞にあたります。 したがって、景品類の最高額が取引価格の20倍以下、かつ景品の総額が取引予定価格の100分の2以下であればいいということになります。
さらに、「取引価格」がいくらになるかという点ですが、今回、そもそもアンケートの回答のためには、入場料を支払ってイベント会場に入場する必要があります。そのため、この入場料が「取引価格」となります。
A 一般に、来店者に対して景品をプレゼントする場合には、「顧客を誘引するための手段として」行われたものとして、「景品等」に当たるとされます。
しかしながら、インターネット上のウェブサイトにおいて、消費者は、ウェブサイト間を自由に行き来することができるので、ウェブサイトへの来訪等を実店舗への来店等と同視することはできません。そして、会員登録等についても、この作業により何らかの取引につながるわけではないので、「顧客を誘引するための手段として」行われたものではないものと考えられます。したがって、ホームページ上の会員登録をした人に対して抽選で景品をプレゼントしたとしても、景表法の規制は及ばないということになります。
A ご相談のケースでは総付景品規制が及ばないようにすることが可能です。
まず、景表法上の総付景品規制とは、事業者が一般消費者に対して懸賞によらないで(対象者全員にもれなく)提供する景品類に対する規制です。総付景品規制では、提供する景品について、「景品類の提供に係る取引の価格の10分の2の金額(当該金額が200円未満の場合には200円)の範囲内であって、正常な商習慣に照らして適当と認められる限度」を超えてはならないとするものです「「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準について」(総付運用基準)参照。
そして、その適用除外として、①商品の販売・使用のために必要な物品又はサービス、②見本その他宣伝用の物品又はサービス、③自己との取引において用いられる割引券、④開店披露等の行事に際して提供する物品又はサービス、が定められております。ご相談のケースでは、上記のうち②見本その他宣伝用の物品又はサービスに該当するものと思われます。この場合、見本としてプレゼントするものを最小取引単位のものであって、試食・試供品ということが明記されている必要があるので、この点にご留意ください。