政府は3月28日、ステルスマーケティング(以下ステマ広告)を規制するための、景品表示法に基づく新たな告示(「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に関する告示)を指定することを発表しました。2023年10月1日に施行されます。
これまで、日本では、実際は広告主の広告であるにもかかわらず、広告であることが分からない行為を規制する方法がありませんでした。海外(OECD加盟国)において、ステマ広告の規制がないのは日本だけでしたので、このような規制を行うというのは当然の流れだろうと思います。
ステマ広告とは、著名人が広告主から報酬をもらいながら、あたかも関係のない第三者を装い商品の口コミなどを投稿する行為をいいます。これを見た消費者は、著名人の口コミが公平なものであると信じて商品を購入してしまいますが、実はその著名人の口コミが企業側の広告であったという点で問題となっておりました。これは消費者から広告であると気づかれないような体制をとることから「ステルスマーケティング」と言われております。
そして、このステマ広告には2つの類型があるとされております。一つは、なりすまし型というもので、事業者が自ら表示しているにもかかわらず、第三者が表示しているかのように誤認させるものです。そしてもう一つは、利益提供秘匿型というもので、事業者が第三者に金銭の支払その他の経済的利益を提供して表示させているにもかかわらず、その事実を表示しないものです。
いずれもポイントは、広告主による広告宣伝であって、消費者に対して広告主が明らかにされないものという点になり、これが今回規制の対象となったステマ広告となります。
これまでは、日本では、広告であることを隠して中立性を装う表示を禁じる項目はありませんでした。そのため、ステマ広告は従来の優良誤認や有利誤認の範囲で規制をしてきました。例えば、「食べログ」でやらせ業者に投稿をさせた際に、優良誤認として規制を行ってきましたが、ステマ広告そのものは規制の対象外でした。
しかしながら、これでは消費者が商品・サービスを選択する判断に不当に影響を与えていることは明らかです。消費者は、自分がステルスマーケティングを受けたどうか分からないため(「ステルス」と言われている所以です。)、被害者を事後的に把握することも困難であるとされておりました。
そのため、事前に規制をして消費者の消費・サービスを選択する判断に不当な影響を与えないようにする必要があるとされていました。
今回は、そのような意味でこの規制は消費者を保護するために必要な規制であると評価できると思います。
今回のステマ広告に対する規制が十分かというと海外の規制と比較して必ずしも十分ではないと言われている点があります。それがインフルエンサーがステマ広告の規制の対象外となっている点です。インフルエンサーに対して事業者が決定した内容を表示させる場合は、その事業者を規制対象として、今後の運用をみながら不都合があれば再度規制を強化するという流れになるようです。
なお、違反した場合ですが、措置命令を出し、広告を依頼した事業者名を公表され、従わない場合は2年以下の懲役または300万円以下の罰金などが科されます。両罰規定で法人も最大3億円が科される可能性があるとされており、罰則等に関しては非常に厳しい規制になっていると思います。
以上のように、ステマ広告はこれまで優良誤認に該当しない限り野放しにされていた傾向がありますが、今回の告示指定でよりフェアな広告になることを期待したいと思います。一部の事業者にとっては、ステマ広告は短期的に利益をあげる方法として重宝していたところもあるようですが、これを機会にステマ広告の見直しをする必要があるものと思います。気がかりな点がおありでしたら、お気軽にお問い合わせください。
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