
アフィリエイトとは、ブログ等のウェブサイトを運営している者(アフィリエイターといいます。)が、広告主の依頼によって広告主が供給する商品の紹介、バナー広告等を自己のWebサイトに掲載し、そのWebサイトを通じて広告主の商品が購入された等の場合に広告主からアフィリエターに成功報酬が支払われる仕組みをいいます(景品表示法研究会編著「景品表示法質疑応答集」第一法規808頁参照)。
では、このアフィリエイターが行った誇大広告は景品表示法違反にあたるのでしょうか。そもそも、景品表示法は、第5条(不当な表示の禁止)において「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」優良誤認や有利誤認などを行ってはならないと規定しております。つまり、景品表示法が適用されるためには「自己の供給する商品又は役務」でなければならないのです。
そのため、アフィリエターは自己の供給する商品又は役務という要件に該当しません。あくまでも他人が供給する商品又は役務について紹介をする者ですので、景品表示法の主体としては予定されておりません。
では、アフィリエイトによって広告をする場合は、景品表示法の適用を気にしなくてもよいのでしょうか。
この点、消費者庁の「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項 (caa.go.jp))によれば、次のように説明されております。
「アフィリエイトプログラムを利用した広告についても、広告主がその表示内容の決定に関与(注6)している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、景品表示法上は、広告主が行った表示とされる。そして、アフィリエイターがアフィリエイトサイト内に掲載する広告における表示、ソーシャルネットワーキングサービスへの投稿における表示、アフィリエイターが自らのアフィリエイトサイトに誘導するために行う広告等における表示に関しては、広告に記載された商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。」
このように、アフィリエイターが作成した広告であっても事業者がその広告の表示内容の決定に影響を及ぼしたり、表示内容の決定を委ねていたような場合には、「事業者が自己の供給する商品又は役務」に該当するとされています。そして、基本的にはアフィリエイターに成功報酬を払うような場合は景品表示法の対象になるものと考えられます。そのため、アフィリエイターに広告を依頼したから景品表示法の対象にならないということにはなりませんので、アフィリエイターが行う表示についても管理することが必要となります。
なお、近時は、ダイエット食品や各種サプリなどの健康食品がアフィリエイト広告を利用して販売するケースが多いかと思います。人気のアフィリエイターに利用してもらってその効果効能を表示するのですが、時としてその効果効能について著しく優良であると一般消費者に誤認させるような表示をしているケースがみられます。
では、このような商品の表示はどのような法律の問題が生じるのでしょうか。
当然、表示が著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合には、景品表示法上の不当表示として問題となります。これは、上記に述べたとおりです。
さらに、ダイエット食品のような健康食品などであれば、景品表示法以外にも健康増進法の対象となります。そして、健康増進法は景品表示法と異なり誰でも適用の対象となりますので、この場合はアフィリエイターも法律の適用対象者となります。もちろん、事業者がその広告の表示内容の決定に影響を及ぼしたり、アフィリエイター表示内容の決定を委ねていたような場合には事業者も健康増進法違反の対象となりますので注意が必要となります。
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