MENU

キャッシュバックをする際の注意点を景表法に強い弁護士が解説

1「値引」に該当する場合

 ①顧客誘引性、②取引付随性、③経済上の利益といった「景品類」の要件を満たす場合、景表法の適用を受けます。

 もっとも、正常な商慣習に照らし値引と認められるものについては、「景品類」に該当しない経済上の利益(③)とされています(定義告示第1項但書)。そして、キャッシュバックは、事後的に対価を減額する行為であり、事業者が結果として価格を下げていることから、この値引に該当するとされています

2「値引」に該当しない場合

 そうすると、キャッシュバックについては、すべて景表法の適用がないと思われますが、そういうわけではございません。一概にキャッシュバックといっても、現金によるキャッシュバックや商品券などの金券、ポイント等、その提供方法は様々です。そこで、定義告示第6⑷記載の「値引に該当しない場合」にあたるか、チェックする必要があります

(1)懸賞による場合

 まず、①懸賞による場合は、くじ等の偶然性や特定の行為の優劣によって対価を減額等するということになりますが、そのような対価の減額等は正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益といえません。

 したがって、キャッシュバックを懸賞による方法で行う場合は、値引に該当せず景品規制の適用を受けます。

(2)減額・キャッシュバックした金銭の使途を制限する場合

 また、②減額・キャッシュバックした金銭の使途を制限する場合、自社の商品や役務を値引したのと同等の経済上の利益を与えたと認められないため、「景品類」に該当します。

 したがって、キャッシュバックが現金の場合、使途を制限する場合にあたりませんが、キャッシュバックが自他共通割引券や他社割引券の場合、金銭の使途を制限することになりますので、このような場合は値引に該当せず、「景品類」に該当することになります。

 なお、総付による提供の場合は、さらに例外がございます。すなわち、自他共通割引券等、自己だけでなく他の事業者との取引にも共通して用いることができる割引券等については、「景品類」に該当するものの、総付の適用除外(自己の供給する商品または役務の取引において用いられる割引券その他割引を約する証票であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの)に含まれるため、総付による場合は景表法の適用を受けないとされております

3「景品類」に該当する場合

 キャッシュバックが値引に該当せず、「景品類」とされた場合、キャッシュバックの上限額は、以下のとおりとなります。

<懸賞による提供の場合の上限額>

取引価額

上限額

5000円未満

取引価額の20倍

5000円以上

10万円

<総付による提供の場合の上限額>

取引価額

上限額

1000円未満

一律200円

1000円以上

取引価額の10分の2

 景品類に該当し、懸賞規制又は総付規制の適用を受ける場合は、上記の上限額を超えないよう注意が必要です。

4 まとめ

 以上のとおり、キャッシュバック企画を行う場合は、当該キャッシュバックが「景品類」に該当するかチェックする必要がございます。また、上記でご説明したとおり、「景品類」に該当するとしても、総付による場合は、例外的に総付規制を受けない場合もあり、景表法の適用を受けるかの判断は多少複雑なものとなっております。そのため、景表法の適用を受けるか適切に判断できない場合は、専門家の意見を求めるべきです。お困りの際は、景品類に関する豊富な知識を有している弊所の弁護士に、お気軽にお問い合わせください。

まずは弁護士に相談を

当事務所では貴社のニーズに合わせたプランをご用意しております。
ご要望に合わせて各プランをご覧ください。

また、弁護士に依頼するかどうか悩んでいる方、どのようなプランで契約してよいか分からない方も、まずはご相談ください。
当事務所では、ホームページから24時間いつでも相談できます。
【相談はこちら】

 

The following two tabs change content below.

森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

NEWS & TOPICS 新着情報