「好評につき延長」を使いたい!景表法の問題が無いか弁護士が解説

Q:ある商品(通常価格は10,000円)の新発売に伴い、割引キャンペーンとして、期間限定で7,000円で販売する
  予定です。もし、キャンペーンが好評であれば、割引キャンペーン期間を延長することも考えております。
  キャンペーン期間を延長することが景表法との関係で問題となりますか?

A:キャンペーン期間を延長することは控えたほうがよいですが、再度のキャンペーンを行うことは可能です。

1.キャンペーン期間に関する規制

 割引キャンペーンを行うにあたって、景表法との関係では、二重価格表示規制に抵触しないようにする必要があります。

 価格表示ガイドラインによりますと、二重価格表示とは、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(比較対照価格)を併記して表示するものと定義づけられています。

 二重価格表示は、ある商品に付けられた高い価格と比較して、現在購入できる価格を安く表記することで、消費者に商品の安さを訴えかけ、購買につなげる手法として用いられます。

 しかし、二重価格表示は、比較対照価格が実体のないものであれば、不当に商品を安く見せかけることにつながりかねず(有利誤認)、景表法で規制されています

 

 そして、二重価格表示規制は、割引キャンペーンにも適用されます。

 つまり、割引キャンペーンを行う場合、通常価格(10,000円)を併記して、キャンペーン期間中では割引価格(7,000円)で購入できると消費者に訴えかけることになりますので、まさに二重価格表示規制に抵触するかが問題となりなります。

 

二重価格表示にはどのような規制にはがあるのか?

 二重価格表示については、同一ではない商品の価格を比較対照価格とする場合や、過去の販売価格を比較対照価格とする場合、将来の販売価格を比較対照価格とする場合などいくつかの場面を想定していますが、今回のケースのように、新商品の販売促進のために割引キャンペーンを行う場合、将来の販売価格(すなわち、新商品の通常価格10,000円)が比較対照価格となります。

 将来の販売価格を比較対照価格とする場合、価格表示ガイドラインには、「表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある」とします。

 そして、「十分な根拠のあるものでないとき」として、以下の2点を例示します。

・実際に販売することのない価格であるとき

・ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないとき

 今回のケースで、割引キャンペーン終了後、新商品を通常価格(10,000円)で継続的に販売していれば、「十分な根拠のあるものでないとき」にはあたらず、不当表示には該当しないといえそうです。

 

※二重価格表示について詳しくは以下の記事をご覧ください。

二重価格表示のルールについて
二重価格表示にあたるケース

2.キャンペーン期間の延長に関する規制

 では、キャンペーン期間を延長することができるのでしょうか。

 キャンペーン期間の延長の可否について、価格表示ガイドラインで明記されているわけではありません。

 しかし、景表法が有利誤認を規制し、実体のない価格を比較対照価格として商品を不当に安く見せかけることを禁止する趣旨に鑑みると、キャンペーン期間の延長については、控えたほうが良いと考えます。

 消費者としては、キャンペーン期間中に購入すれば、10,000円の商品を7000円で購入できると信じて購入するわけですので、当初のキャンペーン期間後も7,000円で購入できる状態が続けば、消費者の信頼を害することになるからです。

 また、割引キャンペーンを繰り返すことで、通常価格(10,000円)自体、実体のないものと評価される可能性もあります

 したがって、割引キャンペーンは延長すべきではなく、当初の広告の通りにキャンペーンを終了すべきと考えます。

 

3.キャンペーン期間に関する規制

 では、キャンペーン期間は明示すべきでしょうか。

 キャンペーン期間を明示せず、事業者の任意のタイミングでキャンペーンを終了させ、通常価格での販売を開始すれば、キャンペーン期間の延長には当たらないようにも思いますが、やはりキャンペーン期間についても広告に明示すべきです。

 価格表示ガイドラインでは、過去の販売価格を比較対照価格とする場合については、割引キャンペーンの期間を最長4週間までにするとの規制を設けていますが、将来の販売価格を比較対照価格とする場合について、キャンペーン期間についての規制を明確に設けていません。

 しかし、割引キャンペーン期間中は通常価格(10,000円)よりも安い価格(7,000円)で購入できると表示することは、消費者に対して期間限定で商品を安く購入できることを伝えることになりますので、キャンペーン期間を明示することは大前提になると考えます。

 逆に、キャンペーン期間を明示しない場合、商品をずっと7,000円で購入できる状態が続くことにもなりかねず、場合によっては、通常価格(10,000円)自体が実体のないものと言われる可能性が出てまいります。

 すなわち、景表法が規制する有利誤認にあたりかねません。

 以上の点から、キャンペーン期間は明示すべきといえます。

 

4.再度の割引キャンペーンについて

 ただし、一度終了し、通常価格で販売をしたのち、二度目の割引キャンペーンを行うということは可能です。

 この場合、比較対照価格は、過去の販売価格(10,000円)となり、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示の要件を満たす必要があります。

 なお、最初の割引キャンペーンの際に、「今だけの割引キャンペーン」などと再度の割引キャンペーンを行わないと読み取れる表示をしてしまうと、消費者に割引キャンペーンは1度きりのものというメッセージを与えかねませんので、このような記載があると再度のキャンペーンも難しくなると考えます。


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