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Instagram、Twitter、TikTokなどのSNSを活用したマーケティングが急増していることに伴い、2023年10月以降、商品やサービスの宣伝であることを消費者に気付かれない方法で広告・宣伝するステルスマーケティング(ステマ)が景品表示法(景表法)違反として規制されております。
企業からの依頼を受けて商品やサービスの紹介をする場合には「PR」「#PR」「広告」といった表示をつけて、商品やサービスを紹介しなければなりません。
もし違反すると、商品やサービスを提供する事業者(広告主)が措置命令を受ける可能性があります。
では前提として、具体的にPR表示が必要となるのはどのようなケースでしょうか?
例えば、インスタグラマーが企業の商品について自身のInstagramで紹介した後になって、企業から連絡があり割引券をもらったり次回から広告として使いたいと連絡をもらったケースであれば、Instagramで紹介した時点では企業からの依頼はないのでPR表示は必要となりません。
これに対して、ECサイトでの購入者にレビューの記載を企業が依頼し、その投稿に対して謝礼を支払った場合は、投稿の内容に情報のやり取りなど一切なかったとしても、自発的な投稿ではなく、企業からの依頼に基づくものなのでPR表示が必要となります。
RIZAPが運営する「chocoZAP」のサービスについて高評価を伝えるインフルエンサーのInstagram投稿を、同社が対価を提供することを条件に依頼した投稿であることを明らかにせずに抜粋して自社ウェブサイトLPに掲載したことが、ステマ規制に抵触するとして消費者庁により措置命令が行われました(2024年8月9日)。
たとえ自社ウェブサイトであっても、自社が依頼したことを明記せずに抜粋している場合はステマ規制に違反します。
また、インフルエンサーによる自主投稿であっても、企業が指示や依頼をしている場合にはPR表示が必要です。
このような場合は、消費者である視聴者に投稿が広告・宣伝であることを明示するため、SNS広告やインフルエンサーマーケティングにおいて「#PR」「広告」「プロモーション」「タイアップ」などのPR表示を用いることは重要です。
さらに、このようなPR表示が視聴者の目に入ってくるような箇所になければなりません。
また、プロフィールなどにまとめてPRと記載するだけでは足りず、個々の投稿ごとに記載をしなければならないことにも注意が必要です。
しかし、PR表示さえ注意すれば景表法違反を免れる、というのは誤解です。
なぜなら景表法で主に問われるのは、表示の内容だからです。
たとえPR表示があっても表示の内容が事実と異なれば「優良誤認」や「有利誤認」といった不当表示に該当し、景表法違反となります。
先ほどのRIZAP事案のInstagramで「なんと完全個室のセルフ脱毛が使い放題」と表示され、自社ウェブサイトLPにおいて「追加サービスなしで全サービスも24時間使い放題!」等あたかも全てのサービスを1日24時間のうち何時でも又は好きな時に利用できるかのように宣伝していたことについて、実際には利用できる最大の合計時間数に上限が定められていて使い放題ではなかったことから、「優良誤認表示」として、この点でも別途、措置命令が行われています(2024年8月9日)。
①ハハハラボのアフィリエイトサイトにおいて「50kg以上の女性 9割がしていない 3週間で60.8kg→47.2kgまで瘦せた方法がすごい!」との記載と共に引き締まった腹部の画像を表示することにより、あたかもこの商品を摂取するだけで誰でも容易に腹部の脂肪が落ち外見上の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように宣伝していたことについて、消費者庁からの求めに応じて提出された資料が当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないとして景表法違反と判断されました。
②さらに、同アフィリエイトサイトで、「30~60代女性が選ぶダイエットサプリ NO.1」など6項目についての調査で本商品が第1位を獲得したかのように宣伝していたことについて、この調査が特定の9商品のみを任意に選択して当該商品を販売する各社のウェブサイトの印象を問うただけで、客観的な調査に基づくものではなかったとして、この点でも景表法違反になると判断されました。
③誇大な痩身効果表示と不適切なNO.1表示により「優良誤認表示」として1086万円の課徴金納付命令が発出されました(2025年6月30日)。
広告の内容が客観的な事実に基づいているかを確認し、消費者の誤認を招く表現を回避することが重要です。
また、効果効能については、裏付けとなる合理的根拠を示す資料(エビデンス)用意し、商品を実際以上に良く見せる虚偽や誇張にならないように気をつけましょう。
さらに、「NO.1」「スペシャル」「極上」等の最高級表現をする場合は、適正な比較広告の3要件(①比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること、②実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること、③比較の方法が公正であること)を満たさなければ根拠のない不当表示に該当するため、注意が必要です。
SNS広告において「PR表示」は最低限のルールですが、それだけでは景表法リスクを回避しきれません。
重要なのは、広告の内容が消費者を誤解させるものになっていないかを常に点検することです。
景表法は複雑な法律であり、自社で判断するのはリスクが高いです。
弁護士は、広告が景表法はじめ関連法規に抵触する可能性がないか、法令遵守のために必要な対策についてアドバイスできますので、事前相談をおすすめします。
森大輔法律事務所は、景表法や薬機法など広告表示に関する法的問題のサポートに力を入れて取り組んでおります。実際の具体的なケースに応じて、適切な対策をとることができます。
広告に法的な問題がないか、複数の弁護士でチェックします。
表示事項、セリフ・ナレーションなどを丁寧に確認し、必要に応じて消費者の誤解を招かないよう注釈の追加や言換のご提案もしております。
広告担当者を対象とした景表法のポイントを弁護士がわかりやすく伝えるセミナーを開催して、役立つ知識をお伝えしております。
万一、消費者庁による調査がきた場合には、スピーディに弁護士が対応サポートします。
広告が景表法に抵触していないか等について、弁護士が意見書を作成いたします。
森大輔法律事務所は、景表法や薬機法に関わる御相談や御依頼を10年間で数多くお受けし、インパクトある適正な広告づくりのサポートに力を入れております。
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