
Contents
比較広告とは、自社の商品やサービスを競合他社のものと比較し、自社の優位性や特徴をアピールする広告手法です。
たとえば「A社(他社)製品より○○%軽い」「A社より洗浄力2倍」「A社より価格が20%安い」「この技術は日本で当社だけ」「業界No.1」などが比較広告の代表例です。
このような「他社と比べてウチが優れているよ」と堂々と主張する比較広告は、自社商品の強みやスペックの違いを、消費者に分かりやすく伝えられるメリットがあります。
同種の商品・サービスの内容や取引条件について、その特徴を適切に比較できる具体的情報が提供されるのであれば、比較広告は消費者にとっても有益な情報といえます。
また、市場におけるチャレンジャー(後発企業など)が、シェア上位の他社に対抗して消費者の認知度や関心を高めることができるというメリットもあります。
メリットが魅力的な比較広告ですが、その反面、不当表示がなされると消費者の誤認を招き合理的な選択ができなくなってしまうため、日本においては「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」によって規制されています。
景品表示法は、事業者による不当な表示による顧客の誘引を防止して消費者が自主的かつ合理的な選択をできるように、比較広告が満たすべき基準を定めています。
商品・サービスの内容または価格などの取引条件について、競合他社のものと大きな違いがないにもかかわらず、競合他社のものよりも著しく優良・有利であると消費者に誤認される比較表現をした場合は、景品表示法が禁止する「不当表示」となります。
たとえば、家電量販店がA家電より安いことを証明する根拠の記載を一切することなく「激安家電なら○○家電へ!安さ・品揃えならA家電よりもお買い得!」という比較広告をした場合です。これは、実証されていない事項(価格)を挙げた比較表現によって競合他社のものよりも著しく有利であると消費者を誤認させる比較表現なので、景品表示法が禁止する「不当表示」にあたります。
パソコンメーカーがウェブ広告で「この技術は日本で当社だけ」と表示したものの、実際は他社でも同じ技術を採用したマシンが販売されていた場合も「不当表示」にあたります。
比較広告を掲載する場合は、消費者庁が「比較広告に関する景品表示法の考え方(比較広告ガイドライン)」において提示する以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。なお、業界の公正競争規約で比較広告に対し制限がある場合は、それにも従う必要があります。
①比較広告で主張する内容(データや調査結果など)が客観的に実証されていること
②実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③比較の方法が公正であること
客観的な実証は、比較する商品・サービスの特性について確立された方法がある場合にはその確立された方法によって行なう必要があります。
確立された方法がない場合には、無作為抽出法で相当数のサンプルを選び作為が生じないように考慮して行う調査方法によって、主張する事実が存在すると認識できる程度まで行なう必要があります。
具体的にどの程度まで必要なのかは、比較する商品・サービスの特性、広告の影響の範囲・程度などを勘案したうえでの判断が必要になりますので、広告問題に詳しい弁護士にご相談ください。
実証されている数値や事実が「正確かつ適正に引用」と認められるためには、実証の根拠となる調査が一定の限られた条件の下で行われている場合には、その限られた条件の下での比較であることまで引用する必要があります。
また、調査機関、調査時点、調査場所をあえて表示せず、調査の客観性や調査の時点・場所について消費者に誤認を生じさせることになる場合は「不当表示」になるおそれがありますので、注意が必要です。
特定の事項について比較し、それが商品全体の機能・効用にあまり影響がないにもかかわらず、あたかも商品全体の機能・効用が優良であるかのように強調する比較表現は「不当表示」となるおそれがあります。
また、取引通念上、同等のものとして認識されていないものを比較し、あたかも同等のもの同士の比較であるかのように表示する場合も「不当表示」となるおそれがあります。
E社の「イモトのWiFi」と称するモバイルルーターレンタルサービスの広告の中に「お客様満足度No.1」「海外旅行者が選ぶ No.1」「顧客対応満足度No.1」等という表記があったのですが、E社が委託したアンケート事業者による調査は、この3項目について、回答者に対して、実際にモバイルルーターレンタルサービスの利用経験があるかを確認することなく、アンケート事業者が任意に選択した特定9事業者およびE社のウェブサイトの印象を問うものにすぎず、客観的に実証された調査に基づくものではありませんでした。そのうえ、広告表示は、この調査結果を正確かつ適正に引用していませんでした。
そのため、消費者庁は「不当表示」であるとして、2026年3月、E社に対して1億7262万円の課徴金納付命令を出しました。
この事例につきましては、「『イモトのWiFi』の『顧客満足度No.1』はなぜ合理的根拠なしと判断されたのか」の弁護士コラムでもわかりやすく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
事業者が景品表示法の規定に違反する不当表示をした場合、消費者庁は、関連資料の収取、事業者への事情聴取などの調査を実施します。
調査の結果、違反行為が認められた場合は、消費者庁は事業者に対して、不当表示により消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為をおこなわないことなどを命じる「措置命令」を出し、措置命令の発出を消費者庁ホームページで公表します。
措置命令を受けた事業者は、商品パッケージに不当表示があれば店頭商品の回収、テレビCMに不当表示があればCM素材の差し替え、ポスターに不当表示があればポスターの回収をしなければなりません。
そのため、措置命令を受けた場合、ブランドイメージを損なうだけでなく、回収などの費用もかかることになってしまいます。
措置命令に違反した場合は、経営者個人に対して2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはこれらの両方、企業(法人)に対して3億円以下の罰金の刑事罰が科されます。
また、事業者が比較広告による不当表示をした場合、課徴金の納付を命じられることもあります。
課徴金の額は、課徴金対象期間に取引をした商品・サービスの売上額の3%となっております。
さらに、競合他社から不正競争行為として、直接、差止めを請求される場合もあります。
以上のように、比較広告については、景品表示法に違反しないように①客観的に実証されているか、②引用が正確・適正か、③比較の方法が公正であるか等について、慎重にチェックすることが重要です。
もし、景品表示法ルールに違反した場合は、高額な罰金や課徴金、商品やポスターの回収、CMの差し替えなどによって多額の経済的損失を被るリスクがあります。
それにとどまらず、企業や商品・サービスへの信頼が失墜し、ブランドイメージが低下して、顧客や取引先が離れてしまうリスクもあります。
そのため、景品表示法ルール違反は、事業を継続・成長させるために回避しなければなりませんが、専門的で難しい部分もあるため、経営者様が自らひとりで対応するのは大変です。
したがって、比較広告はじめ広告表現についてご不明点や不安なことがございましたら、広告問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に広告のリーガルチェックをしてもらうことによって景品表示法ルール違反を回避できるので、安心して経営に邁進できるようになります。
弁護士法人森大輔法律事務所は、2015年に企業法務メインの法律事務所としてスタート以来、業種も規模もさまざまな100社以上にわたる顧問先のリーガル・コンサルタントとして数多くの企業事例を取り扱ってまいりました。
法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をも提供し、広告支援サービス(景品表示法・薬機法)にも力を入れている法律事務所です。
メディア運営事業者、広告代理店などに、広告やLPのリーガルチェック、法令やガイドラインに沿った社内マニュアル作成、従業員に向けた社内セミナーなどの広告支援サービスを日常的に提供しております。
弁護士法人森大輔法律事務所は、「100年続く企業を共に創る」をパーパス(存在意義)として掲げ、親身かつレスポンス良く貴社の広告づくりをサポートいたします。
経営者様の想いを汲み取り、貴社が100年続く企業になるための「最良のパートナー」として、共に歩み続けます。
弁護士法人森大輔法律事務所では、複数の弁護士によるチームでご依頼に対応しております。
・広告表現についてお悩みで困っている方
・自社の広告に法的リスクがないか弁護士にチェックしてほしい方
・幅広い法務・労務の相談・社内研修にスピーディーで親身に対応できる顧問弁護士が必要な方
・広告、商標、契約書などのリーガルチェックも気軽に頼める顧問弁護士がほしい方
弁護士法人森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでも相談できます。
【相談はこちら】
広告支援(景品表示法・薬機法)に詳しい弁護士が喜んでスピーディーに対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
オンラインWeb会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでも対応できます。
もちろん、直接オフラインでお会いしてお話を伺い、実際の広告など資料を一緒に見ながらのご相談も大歓迎です。
弁護士法人森大輔法律事務所は、東京・東銀座(歌舞伎座の向かい)にあります。
東京メトロ銀座線・東銀座駅と直結しておりますので、アクセスが大変便利です。
お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
