【速報】同一労働同一賃金の最高裁判決について

1.同一労働同一賃金の概略

 同一労働同一賃金とは、無期契約労働者と有期契約労働者との間の不合理な労働条件の格差を禁止するものです。

 同一労働同一賃金の背景には、全雇用者の4割が非正規雇用労働者である我が国において、特に女性は結婚、子育てなどもあり、不本意ながら非正規雇用を選択している方が多いところ、このような非正規雇用労働者の待遇を改善し、多様な働き方の選択を広げる点にあるといえます。

 同一労働同一賃金に関する過去の最高裁判決(平成30年6月1日)では、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件に相違があり得ることを前提に、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情(以下「職務の内容等」という。)を考慮して、その相違が不合理と認められるか否かを判断しています(最高裁平成28年(受)第2099号,第2100号同30年6月1日第二小法廷判決参照)。今回の最高裁判決でも、この判断枠組みを踏襲しています。

2.各判決の解説(メトロコマース、大阪医科薬科大学、日本郵便)

 今回の10月13日・10月15日に出た最高裁判決では、賞与、退職金、年末年始勤務手当、扶養手当、夏期休暇及び冬期休暇に関する格差が不合理か否かを判断しました。そして、かかる判断においては、賞与、退職金、手当、休暇が存在している理由誰に適用されるのがふさわしいのかといった点を特に着目しております。

(1)賞与及び退職金の格差について(メトロコマース、大阪医科薬科大学)

 まず、賞与を巡る訴訟の原審では、正職員らに支払われる賞与は年齢や業績などに連動しておらず、「就労自体への対価の性質がある」として格差が不合理であるとし、退職金を巡る訴訟の原審では、退職金は「長年の勤務に対する功労報酬の性格がある」ことから、一切支給しないことは不合理と判断していました。これに対し、最高裁は、賞与及び退職金には「正社員としての職務を遂行できる人材の確保や定着を図る目的」が含まれていると位置づけ、正規と非正規では業務の難易度や責任に差があることを考慮して、格差を設けることが不合理とまではいえないと判断しました。

(2)各種手当・各種休暇の格差について(日本郵便)

 扶養手当は、「継続して働く正社員への生活保障といった性格」があり、契約社員も継続的勤務が見込まれるなら支給対象になると判断しました。

 日本郵便の年末年始勤務手当については、皆が休日として過ごしている中、郵便業務において最も忙しい年末年始に勤務する者に対して特別に支給する手当です。このような年末年始勤務手当は、正社員だろうと契約社員だろうと年末年始に勤務した者に支給するのであり、契約形態によって差異があるものではないことを最高裁は述べています。

 さらに、各種休暇の趣旨も、正規と非正規の間で差がないとして格差は不合理と結論付けました。

<待遇格差をめぐる5訴訟の判決>

事件

審理対象

1審

2審

最高裁

アルバイト職員 VS 大阪医科薬科大学

賞与

売店の契約社員 VS 東京メトロ子会社

退職金

契約社員 VS 日本郵便

年末年始勤務手当

扶養手当

夏期・冬期休暇

判断が
割れる

 ※〇は「格差が不合理」と認定、×は認定せず

3.企業において注意すべきポイント

 今回の最高裁判決は、企業が設定した目的を重視し、個別具体的な検討を行っていますので、他のすべての会社で同じ結論になるとはいえません。

 会社ごとの賞与や退職金制度の性質によっては、不合理と判断される可能性もありますので、待遇について格差を設ける理由付けを検討しておくことが必要と思われます。

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