近年、商品の効果や魅力を直感的に伝え消費者の購買意欲を高める手法として、「実演シーン」を取り入れた広告が増加しています。
しかし、こうした広告表現が消費者庁の監視対象となる景品表示法(景表法)の違反リスクをはらんでいることはあまり知られていません。
本記事では、弁護士の立場から、実演シーンを使った動画広告で特に注意すべき景表法違反ポイントを解説します。
景品表示法(景表法)は、事業者による不当表示を防止し、消費者の自主的で合理的な選択を守るための法律です。
主に「優良誤認表示」や「有利誤認表示」に対する規制を行っています。
景表法については、「弁護士による景品表示法(景表法)」において詳しく解説しておりますので、こちらをご覧ください。
商品を使って「簡単に汚れが落ちる」などの実演シーンの動画広告を見かけます。
例えば、クリーナー商品で「ひと拭きですぐにピカピカ!」等と実演するものです。
実際には強力な別の洗剤を先に使っていたり、特定の角度からの撮影で目立たなくしている。
このように効果が一時的・例外的なものだった場合や、特別な操作や下準備があった場合には、優良誤認表示として景表法に違反するおそれがあります。
編集技術の進歩で、実際よりも効果が大きく見えるような映像加工も簡単となっています。
しかし、これによって実際の効果以上に消費者にアピールしてしまうと、事実と異なる表示として優良誤認表示となります。
例えば、スキンケア製品の実演でAFTER映像だけ明るい照明や編集によって肌が綺麗に見えるよう加工している場合、景表法に違反するおそれがあります。
実演で効果が出たのは「30分以上放置した」「専用のクリーナーも併用した」など、実際には追加または特殊な条件が必要である。
それにもかかわらず、それを明確に示していない場合も、同じく消費者の誤認を招くので、景表法に違反するおそれがあります。
商品を消費者に対して訴求していくためにその品質の良い部分を強調していかに目立たせるかが、広告の肝であるといえます。
しかし、このような強調表示は、通常は対象商品のすべてに対して無条件・無制約にあてはまると消費者に受け取られかねません。
したがって、消費者の誤認を招かないよう、以下の3点に注意が必要です。
ごく一部の事例や理想的な状況ではなく、消費者が通常実践した場合を実演しましょう。
実演シーンで追加の作業や特殊な条件が必要な場合は、テロップ等でわかりやすく明示しましょう。
打消し表示の表示時間や文字の大きさ等にも注意が必要です。
効果を誇張してしまう過度な編集や事実に反する合成加工は避けましょう。
実演が「実際の利用シーンそのまま」か「演出が加わったものか」を分かりやすく示すことも重要です。
たとえば、CGやアニメーションを使った演出の場合はその旨を明示するべきでしょう。
景品表示法を所管する消費者庁は、事業者に対して、表示の裏付けとなるような合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。
資料が提出できない場合、措置命令においてその表示が優良誤認表示とみなされたり、課徴金納付命令においては優良誤認表示と推定されてしまいます。
実演で主張した効果については、科学的・客観的な根拠資料を予め準備し、必要に応じて消費者庁に提示できるようにしましょう。
実演シーンを取り入れた動画広告は、訴求力が高い一方で、景表法違反リスクも大きいです。
制作者・広告主は、表現方法やエビデンスの管理に十分注意を払い、消費者目線で消費者の合理的判断を誤らせないようにすることが重要です。
疑問や不安があれば、法律専門家への事前相談をおすすめします。
景表法は複雑な法律であり、自社で判断するのはリスクが高いです。
弁護士は、実演シーンの内容が景表法はじめ関連法規に抵触する可能性がないか、法令遵守のために必要な対策をアドバイスできます。
また、万が一、消費者庁から指摘を受けた場合にも、弁護士が対応することで損害を最小限に抑えることができます。
上記の対策はあくまで一般的なものであり、個々のケースによって必要な対策は異なります。
森大輔法律事務所は、景表法や薬機法などの広告表示に関する法的問題のサポートに力を入れております。
実際の具体的なケースに応じて、適切な対策をとることができます。
実演シーン含め動画広告の台本や完成稿に法的な問題がないか、複数の弁護士でチェックします。
スクリプト、表示テロップ、ナレーションなどを丁寧に確認します。
広告担当者を対象に、景表法の基礎知識や注意すべきポイントを弁護士がわかりやすく伝えるセミナーを開催します。
NGになる表現事例もわかりやすく解説するので、役立つ知識が学べます。
万一、消費者庁からの調査、さらには広告の差止など措置命令が出された場合には、速やかに弁護士が的確な対応をサポートします。
措置命令の内容は全国紙に公表となるため、マスコミ対応も必要になります。
その場合も、弁護士が速やかに、公表文案の作成や、記者会見のリハーサル等をサポートします。
状況に応じて、弁護士が代理人として活動することも行なっております。
自社の商品役務に関して訴求力の高い広告を作成したいというあまり、過度な表現内容になっていないか等について、弁護士が意見書の作成を行っております。
基本的には法律問題サポート契約(顧問契約)を締結して普段からご相談に対応しております企業様へのサービスとさせていただいております。
ただし、事案によっては顧問先様でなくてもお受けできるケースもございますので、お問い合わせください。
森大輔法律事務所は、景表法や薬機法に関わる御相談や御依頼を10年間で数多くお受けし、インパクトありながらも適正な広告づくりのサポートに力を入れております。
・製作した広告に法的問題がないか不安で悩んでいる方
・経験豊富な弁護士に広告をチェックしてほしい方
・弁護士による「広告制作に絶対必要な景表法セミナー」を受講したい方
・法務・労務トラブルの相談に加え広告チェックもできる顧問弁護士がほしい方
森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでも相談できます。
【相談はこちら】
景表法に詳しい経験豊富な弁護士が喜んで対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
オンラインWeb会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでも対応できます。
どうぞお気軽にお問合せください。