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幼稚園・保育園、学校、学習塾、音楽教室、スポーツクラブなどの教育機関について、GoogleマップのクチコミやSNS、掲示板で「いじめ隠蔽」「体罰」といった書き込みを見かけることが増えました。
閲覧者はその真偽を確かめることができません。そのため、こうした書き込みを目にした保護者は「わが子を任せるのは不安だ」と感じ、入園・入学・入塾を見送ることになりかねません。
その結果、教育機関は、入学検討者からの問い合わせや志願者の減少、在籍する児童・生徒や保護者の信頼低下による転校・退塾、教職員のメンタルヘルス不調や離職、さらには行政や第三者機関による調査への対応コストといった様々なリスクにさらされることになります。
虚偽の書き込みへの対応では、「証拠を残す」「事実を確かめる」という最初の2つの行動が、その後の結果を大きく左右します。教育機関側としては、この初動を足がかりに毅然とした法的措置をとることが、被害の拡大を防ぐ最大のポイントです。
まず、書き込みの内容(本文、コメント、画像、動画)、投稿日時、投稿者のアカウント名、URLが写る形でスクリーンショットを撮影し、印刷するなどして保存します。
投稿者が書き込みを削除すると、後から証拠を集めることは非常に難しくなります。削除や編集される前に、そのままの状態を保存することが最も重要です。
書き込みの内容が真実かどうかを、関係者への聞き取りなどによって教育機関の内部で調査します。
調査チームは、管理職(校長・教頭・事務長、園長、塾長など)、当該事案の担当者(ただし当事者性が高い場合は除外)、顧問弁護士で構成するのが望ましいです。
なお、「いじめ隠蔽」の書き込みがあった場合、学校はそれを単なる風評被害として扱うだけでは不十分です。いじめ防止対策推進法に基づき、いじめの事実がないかを確認し、「重大事態」に当たる場合には設置者への報告や調査など法律上の対応が必要になります。
内部調査の結果、事実無根だと判明した場合には、公式サイトなどでその旨を公表することも検討します。沈黙は「認めた」と受け取られるおそれがある一方、過剰に反応するとかえって拡散を招くおそれもあります。公表するかどうか、その文面とタイミングについても、弁護士が事案に合わせてアドバイスいたします。
インターネット上の虚偽の書き込みは、消さない限り被害が広がり続けます。そのため、速やかに削除を求めることが重要です。
削除請求は、削除権限を持つサイト管理者(Google、X、5ちゃんねるなど)に対して行います。
方法は大きく分けて2つあります。
サイトの専用フォームなどを使い、書き込みが名誉毀損などの権利侵害に当たることや、利用規約に違反することを伝えて、削除を求めます。2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)により、大規模なプラットフォーム事業者には、削除の申出に対して一定期間内に判断し、申出者に通知することが義務づけられました。法的な根拠を具体的に示した申出を行うことで、迅速な削除が期待できます。
サイト管理者が任意の削除に応じない場合には、裁判所に削除の仮処分を申し立てます。仮処分が認められるには、名誉権などの権利が侵害されていること(被保全権利)と、正式な裁判の結論を待っていては損害が拡大すること(保全の必要性)を示す必要があります。通常の訴訟より比較的短期間で結論が出るのが特徴です。
どの箇所をどの法的根拠で削除を求めるか、仮処分へ進むべきかは、弁護士が一緒に検討いたします。
なお、弁護士以外の者が報酬を得て削除請求を代行することは、弁護士法で禁止されています(非弁行為)。「削除代行」をうたう業者にはご注意ください。
匿名の書き込みであっても、投稿者を特定できる方法があります。情報流通プラットフォーム対処法に基づく「発信者情報開示請求」を利用します。
開示が認められるには、主に、権利侵害が明らかであることと、損害賠償請求などのために開示を受ける正当な理由があることの2つの要件が必要です。名誉毀損を理由とする場合、「権利侵害が明らか」といえるためには、書き込みが真実でないことなど、違法性を否定する事情がないことを、請求する教育機関の側で証拠により示す必要があります。
従来は、サイト管理者と接続プロバイダに対して2段階で手続を行うのが一般的でした。2022年10月施行の法改正で「発信者情報開示命令」の手続が新設され、事案によっては1つの手続で迅速に進められるようになりました。
ただし、接続プロバイダのアクセスログの保存期間は数か月程度と短く、期間が過ぎると投稿者の特定は事実上不可能になります。開示の見込み、使うべき手続、証拠が足りているかについて、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。
投稿者を特定できたら、民法709条・710条の不法行為に基づいて損害賠償を請求できます。
損害賠償が認められるには、書き込みが教育機関の社会的評価を低下させるものである必要があります。一方で、書き込みが公共の利害に関わる事実についてのもので(公共性)、専ら公益を図る目的でなされ(公益目的)、重要な部分が真実であると証明された(真実性)場合には、違法性が否定され、請求は認められません。また、真実と証明できなくても、投稿者が真実と信じることに相当な理由があった場合には、故意・過失が否定され、やはり請求は認められません。請求前に、これらの点をあらかじめ弁護士と確認しておくことが重要です。
教育機関(法人)の場合、賠償の中心は、社会的評価が低下したことによる「無形損害」です。認容額は事案によりますが、数十万円から100万円前後にとどまる例が多く見られます。入学者減少などの売上減少は、書き込みとの因果関係の立証が難しく、認められにくい傾向にあります。
投稿者の特定に要した弁護士費用などの「調査費用」も損害として請求できます。裁判では、全額が認められた例もある一方、一部に限られた例もあります。
なお、書き込みが悪質な場合には、名誉毀損罪、信用毀損罪、業務妨害罪として、警察への告訴や被害届も検討できます。名誉毀損罪は告訴がなければ起訴されない「親告罪」で、犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要がある点にご注意ください。
「いじめ隠蔽」「不適切指導」の書き込みに一部でも真実が含まれる場合、教育機関としては法的措置にも保護者への説明にも一層慎重な判断が必要になります。
書き込みが公共の利害に関わり、公益目的で、重要な部分が真実であれば、名誉毀損は成立しません。ただし、「真実の部分があるから削除できない」とも、「真実の部分があるから投稿全体が正当」とも限りません。書き込みの内容を文言ごと・事実ごとに分けて評価することが大切です。
たとえば、実際に起きた事故、教育機関の対応の遅れ、制度上の不備などがこれに当たります。
この部分は無理に否定せず、事実を認めたうえで、被害や影響への配慮、再発防止策、現在の対応を説明します。
個人情報や調査上の秘密に関わる点は、説明できない旨を理由とともに明示します。
たとえば、一度の対応の遅れを「学校は常に放置している」と表現するケースです。
この場合は、投稿者の問題意識を全面的に否定せず、確認できた事実だけを訂正します。「○月○日に相談を受けたこと」は認め、「○日に調査を開始したこと」を説明しつつ、「常に隠蔽している」という評価には同意せず、未確認の事項は「現在確認中」とします。
実在しない事実、関係者を特定できる個人情報、家庭の事情や健康状態の暴露、脅迫的な表現については、削除請求や法的措置を検討します。その際は「教育機関に不都合だから」ではなく、問題のある箇所を特定して名誉毀損やプライバシー侵害などの法的理由を具体的に示して手続を進めます。
なお、児童・生徒や教職員のプライバシー権は本来その本人(個人)の権利であるため、本人や保護者と連携して手続を進める必要があります。
保護者への説明では、「客観的事実」「評価」「対応方針」を分けることが重要です。把握している事実を先に伝え、評価や責任の判断は調査の結果を待って行います。
説明の順序としては、まず問題となっている書き込みがあることを伝え、次に現時点で確認できている事実と確認できていない事項を分けて示します。そのうえで、教育機関側に問題があった場合にはその認識を述べ、児童・生徒への影響を抑えるための措置と再発防止策・改善策を説明します。最後に、今後の問い合わせ窓口と次に説明する時期をお知らせします。
学校教育法では、学校は保護者や地域住民に対し、教育活動など学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとされています(小学校につき43条。幼稚園・中学校・高等学校などに準用)。保護者に書き込みについて説明を求められた場合には、学校としての判断の過程を整理し、具体的かつ簡潔に説明することが大切です。
説明を口頭で行うか書面で行うかは、原則として教育機関が判断できます。ただし、いじめの「重大事態」に当たる場合には、いじめ防止対策推進法28条により、調査を行い、被害児童生徒とその保護者に必要な情報を適切に提供する義務があります。また、保護者から個人情報の開示請求があった場合には、個人情報保護法などに従って対応する必要があります。
保護者に向けた説明を書面にすると、内容を精査できる一方、証拠として残り続けます。書面にすべきかどうか、その文面については、事前に弁護士に相談のうえチェックを受けることをおすすめいたします。
個々の教職員が独自の判断で回答すると、無用な誤解を招きます。校長、法人本部、顧問弁護士等で対応方針を統一して、外部への窓口は広報担当に一本化します。
広報の基本は、確認できた事実は認め、誤りだけを具体的に訂正し、説明できない部分には理由を付し、改善策を明らかにすることです。弁護士法人森大輔法律事務所では、公表文や保護者向け文書の作成から説明会の準備までサポートいたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
書き込みが繰り返される背景には、内部の不満が放置されて「学校に言っても無駄」という不信感が生じているケースや、教育機関の情報発信が不透明で「隠している」という印象を関係者に与えているケースが少なくありません。
また、教育機関側の「匿名だから仕方ない」と対応をしない姿勢が投稿の繰り返しを許していたり、全面否定・無視・過度な法的威嚇といった初動の誤りが投稿者の不満を増幅させて新たな書き込みを招いていたりすることもあります。
虚偽書き込みは、「声を上げたのに無視された」「相談窓口がない」という体験がきっかけになることが少なくありません。そこで、保護者・児童生徒と教職員向けの相談窓口を設け、相談を受けたときの対応フロー(顧問弁護士への報告、内部調査の方法、相談者への結果の伝え方など)を明文化することで、相談の握りつぶしを仕組みとして防ぎます。
教育機関側が指導方針や対応事例(匿名化したもの)を継続的に発信し、問題が起きたときも速やかに説明することで、「隠している」という印象を与えないようにします。重大な事案では、外部の有識者による第三者委員会などを活用し、外部の目が入っていることを示すのも有効です。顧問弁護士は、委員の人選や調査の進め方について助言できます。
主要なプラットフォーム(X、Googleクチコミ、5ちゃんねるなど)を定期的に確認する担当者を決めたり、検索アラートを設定したりして、監視の体制を整えます。
そのうえで、「書き込みを見つけたときの初動手順」を明文化します。たとえば、発見者は直ちにスクリーンショット(URL・日時を含む)を撮って管理職に連絡し、管理職が顧問弁護士に連絡する、といった流れです。書き込みの内容、発見日、対応の経過はすべて記録して一元管理し、後の法的手続で証拠として使えるようにしておきます。
顧問弁護士による研修で、体罰(学校教育法11条で禁止)や不適切な指導の線引き、いじめへの対応の仕方などを学び、教育機関内で法的な基準を共有します。あわせて、書き込みを見つけたときの報告義務と対応フローを周知し、教職員個人の判断で反論やコメントを書き込むことを禁じるルールを明確にしておきます。
実際には、書き込みがされた後に初めて弁護士に相談されるケースが多くあります。弁護士はその段階でも、投稿の法的な評価、証拠保全、内部調査、保護者向けの説明文、書き込みの削除請求、発信者情報開示などを総合的にサポートできます。
しかし、より効果が高いのは、問題が起きる前の「体制づくり」の段階でのご相談です。危機対応マニュアルや対応フローを作るタイミングで弁護士が関わることで、教育機関の実情に合った仕組みを整えることができます。
「いじめ隠蔽」「体罰」などの書き込みは、虚偽であっても放置すれば、志願者の減少、保護者の信頼低下、教職員の意欲低下や離職、行政や報道への波及など、現実の損害につながりかねません。
一方で、教育機関による感情的な全面否定、安易な反論の公表、法的措置の乱用は、いずれも火に油を注ぐおそれがあります。教育機関には、冷静かつ戦略的に動くための「法的な判断の軸」が欠かせません。
書き込みを見つけた直後の対応が、その後の展開を大きく左右します。
弁護士が初動から関わることで、証拠の取りこぼしや不用意な発言といった後悔しても取り返せないミスを防げます。
法的措置には、とるべき場合と、とるべきでない場合があります。
たとえば、書き込みの一部が事実に基づく場合には、裁判がかえって逆効果になることがあります。裁判に進むと公開の法廷で審理され、書き込みの内容がかえって注目されることもあります。
また、教育機関による過度に威嚇的な法的対応は「スラップ訴訟(批判を封じるための訴訟)」と受け取られ、批判がさらに広がるおそれもあります。
弁護士は、事案ごとにリスクを見極めたうえで、法的措置、広報対応、静観のうちどれが適切かをご提案します。
「いじめ隠蔽」「不適切指導」といった書き込みを目にした保護者や行政は、教育機関の説明を厳しい目で見るものです。説明内容に事前に弁護士による法的なチェックが入ることで、不用意な表現による新たなトラブルを防げます。万一、裁判や行政の調査に発展した場合にも、初動から一貫した対応をとることができます。
「いじめ隠蔽」「不適切指導」などの書き込みへの対応は、法律・広報・組織運営が複雑に絡み合う問題です。問題が起きてから慌てて弁護士を探すより、普段から教育機関の実情を知る顧問弁護士がいる方が、はるかに効果的に対応できます。
顧問弁護士がいれば、平時には、書き込みの監視体制や相談窓口、初動フローの整備、危機対応マニュアルの作成、教職員向けコンプライアンス研修を一緒に進めることができます。問題が起きたときには、証拠保全と内部調査の支援、保護者向け説明文書の作成、削除請求、投稿者の特定まで、初動からスピーディーに対応できます。
さらに、調査の進め方、記録の残し方、保護者への伝え方、教職員や児童・生徒からの聴き取り方といった日々の疑問も、その都度、気軽にご相談いただけます。
したがって、顧問弁護士との契約は、教育機関にとって有効なリスク対策の一つといえます。
弁護士法人森大輔法律事務所は、2015年に事業者・法人側に特化した企業法務中心の法律事務所としてスタートしました。業種も規模もさまざまな100社以上の顧問先をサポートしてきた経験から、法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をご提供しています。
インターネット上の虚偽書き込みやハラスメントから教育事業者様の経営を守りたいという思いから、ネット問題やハラスメント対策に力を入れて取り組んでいます。
弁護士法人森大輔法律事務所では、女性弁護士を含むチームで対応しますので、幼い子どもや女子生徒からの聴き取りにも配慮いたします。オンライン会議(Zoom)を活用して全国どこでも対応できるほか、事務所で対面でお会いし、資料を一緒に見ながらのご相談も歓迎しております。当事務所は東京・東銀座(歌舞伎座の向かい)にあり、東京メトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座駅」6番出口に直結していますので、大変便利です。
・GoogleマップのクチコミやSNSの虚偽書き込みへの対応に悩んでいる
・保護者への説明や公表文の文面に不安がある
・いじめや体罰の申告を受けたときの対応フローを整えたい
・幅広い法務・労務の相談にスピーディーかつ親身に対応できる顧問弁護士を探している
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