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無断で撮影された従業員の写真がGoogleクチコミに投稿された!対処法や削除の方法を弁護士が解説

1従業員の写真がGoogleクチコミに投稿された場合、削除できる?

(1)削除できる可能性はある

最近、サービスに不満を持つ顧客が、接客中の従業員を無断で撮影してGoogleクチコミに投稿するケースが見られます。

Googleマップにおける店舗のビジネスプロフィール上にGoogleポリシーに違反するクチコミが投稿された場合、その投稿を削除する手段が用意されています。

したがって、クリニックや飲食店で接客中の従業員が顧客に無断で撮影され、その写真がGoogleクチコミに無断で投稿された場合も、削除できる可能性があります。

もっとも、従業員本人やクリニック・店舗側が、直接すぐに写真を削除することはできません。Googleに削除を申請し、Googleがポリシー違反や権利侵害と判断した場合に限って、Googleによって削除されることになります。

 

(2)具体例

従業員には、みだりに容貌等を撮影・公表されない「肖像権」や「プライバシー権」が認められています。

たとえば、従業員の顔立ちが鮮明に分かる写真は、「肖像権」の侵害があるといえます。加えて、名札もはっきり映っている場合は、勤務先・顔・氏名が判明していて個人の特定性が高く「プライバシー権」の侵害があるといえます。したがって、Googleにプライバシーに関する懸念や権利侵害が認定されて、削除が認められやすいです。

これに対して、店舗内の様子を広くとらえた写真に従業員が小さく映り込んだ写真が店舗に対する不満・低評価の一部として掲載されているようなケースでは、従業員の肖像権やプライバシーの侵害とまではいえずGoogleに削除が認められないことも多いです。

権利の侵害があるかどうかの判断には裁判例などを踏まえた法的な知識が必要ですので、弁護士に相談してアドバイスを受けると良いと思います。

 

 

2従業員の写真が投稿されたまま残るリスク

(1)従業員にとってのリスク

従業員の写真がGoogleクチコミに投稿されたまま残っていると、個人の特定につながり、プライバシー侵害の継続、拡散による二次被害のリスクがあります。

すなわち、個人が特定されることによって勤務先や顔が広く世間(第三者)に知られることになるので、嫌がらせや誹謗中傷、連絡先特定の起点になるおそれがあります。

 

(2)企業側にとってのリスク

従業員を無断で撮影した写真の投稿は「SNS/インターネット上での誹謗中傷型」のカスタマーハラスメントの一種としても整理されます。

従業員の写真入り投稿を放置すると、従業員の就業環境が悪化します。その結果、企業側には、職場環境配慮義務の違反を問われたり、従業員に退職されるリスクがあります。

そのような企業は、顧客や取引先からの信用を失うことにもなりかねません。

したがって、企業としては、速やかにGoogleに対して削除を申請し、必要であれば法的手段を検討すべきと考えます。

 

 

3Googleクチコミに問題のある投稿がされた際の初動対応

Googleクチコミに従業員の写真など問題のある投稿された際には、炎上・拡散による二次被害を最小限におさえるべく、企業は以下の手順で早急に初動対応を行うべきです。

(1)証拠の確実な保存

まずスクリーンショットやプリントアウトによって従業員の写真など問題のあるGoogleクチコミ投稿内容やURLを証拠として保存します。リツイートやシェアで拡散し炎上している場合には、拡散状況もスクリーンショット等で証拠として保存します。

この初動対応は、たとえ投稿者によって写真やクチコミが削除されても投稿者を特定して損害賠償請求などの手続を進められる不可欠な証拠を確保するものですので、重要です。

 

(2)クチコミ削除請求

証拠を確実に保存した後は、拡散による被害拡大を防ぐため、Googleが提供する専用のウェブフォームから権利侵害を理由とした削除請求を行います。

Googleによって削除されない場合は、「投稿削除仮処分」という裁判手続による削除を検討します。これは法的知識や経験を要しますので、弁護士に依頼された方が良いかと思います。

 

(3)発信者情報開示請求

悪質なGoogleクチコミ投稿者に対して損害賠償請求や刑事告訴を検討する場合は、「発信者情報開示請求」などによって投稿者が誰であるか特定する必要があります。投稿の拡散による二次被害のリスクもありますので、できるだけ早く弁護士に相談する方がよいでしょう。

 

(4)顧問弁護士の利用

日常的に企業内の法務部門との連携を密にしているのであれば、従業員の写真など問題のあるGoogleクチコミ投稿が発覚・炎上した際、以上のような適切な対応をとることができるかと思います。

もし企業内に法務部門がない等でお困りの場合には、企業法務を取り扱う弁護士と顧問契約を結んで日頃から連携を密にすることによってリスクを下げることができますので、企業法務を取り扱う弁護士に相談することをおすすめします。

 

4従業員の写真が入ったクチコミの削除手順

従業員の写真が入ったGoogleクチコミは、速やかに削除の請求をすることがプライバシー侵害による被害を食い止めるために有用です。削除請求の手順は、以下の3ステップです。

(1)証拠の保存

まず投稿をプリントアウトしたりスクリーンショットで撮影して証拠として保存します。この際、対象となる投稿のURLも正確に控えておくことが、後の手続で重要となります。

 

(2)Googleウェブフォームからの削除依頼(裁判外)

Googleが用意している専用のウェブフォームから、直接Googleに対して削除を依頼(リクエスト)します。Googleポリシー違反を理由に削除をリクエストすることによって、裁判を通さなくても削除に応じてもらえる場合があるので、これが最も簡単で迅速な方法です。

Googleマップアプリで投稿された写真の削除をリクエストする具体的な手順は次の通りです。

なお、同じ写真に対して削除リクエストを複数回送信してしまうと審査プロセスが遅れる場合があるため、しっかり確認して一度のみリクエストした方が良いです。

①スマホでGoogleマップアプリのマップを開きます。

②右下の [ビジネス] をタップします。

③[ビジネス プロフィールを表示] 次に [写真] をタップします。

④削除したい写真を選択します。

⑤右上の[その他アイコン]次に [報告] をタップします。

⑥その写真や動画を報告する理由を選択します。例:「個人情報」

⑦[送信] をタップします。

削除リクエストを受けたGoogleがクチコミ内容を審査し、ポリシー違反と判断すれば削除措置が取られます。

Googleによる削除が認められるかどうかは、本人の権利侵害の程度がポイントになります。

勤務先に加えて名札(氏名)と顔が判明するケースは、個人の特定性が高く、プライバシーに関する懸念が高いので、削除請求が認められる見込みは上がります。

なお、Googleマイビジネスで「オーナー登録」を済ませていると、管理画面から報告が可能になり対応が早まる傾向があるほか、オーナーからの返信機能を用いて事実関係の訂正等を行うこともできるようになります。

 

(3)裁判所を通じた「削除仮処分」の申立て

ウェブフォームから依頼したにもかかわらずGoogleによって削除されない場合は、裁判所を通じた「投稿削除仮処分」による削除の方法を検討します。

米国法人のGoogle LLCを相手に裁判を申立てることになりますが、日本国内での登記があるので、日本の裁判所で裁判できます。

仮処分の手続進行は、通常の裁判よりも早く、1〜2か月程度で結論が出されることが多いです。

手続においては、クチコミの内容が従業員の肖像権やプライバシー権などの権利を侵害していることを証拠で示す必要があります。

「投稿削除仮処分」が出されると、通常は3週間程度で投稿が削除されます。

注意点としては、削除が認められた際、一時的に「担保金」を裁判所に預ける必要があります。

仮処分はGoogleウェブフォームからの削除請求が認められない場合の有効な解決手段となりますが、裁判手続であるため法的知識や経験を要しますので、弁護士に依頼された方が良いかと思います。

 

5従業員の写真の投稿を行った客を特定する法的手続と判断基準

Googleマップに従業員の写真を投稿した顧客を特定するためには、Googleマップのクチコミ投稿の多くが匿名であるため、損害賠償請求などをする前に「発信者情報開示請求」などの法的手続をする必要があります。

(1)発信者情報開示請求

①第1段階の請求

「発信者情報開示請求」とは、インターネット上で権利を侵害された被害者が、投稿者を特定して損害賠償請求などの法的責任を追及するために、プロバイダに対して投稿者(発信者)の情報の開示を求める手続です。

まず、ウェブサイト管理者(コンテンツプロバイダ)であるGoogleに対して、IPアドレスやタイムスタンプの開示を求めます。

Googleマップのサイト管理者は米国法人のGoogle LLCですが、日本国内に代表者が登記されているため、日本の裁判所での手続が可能です。

Googleマップは「ログイン型」のサービスであり、個々の投稿そのもののログよりも、アカウントへのログインに関する記録となります。Google側で保有している可能性のある投稿者情報は、アカウント登録情報としてのメールアドレス、電話番号、クチコミの送信日時です。

したがって、Googleに対して発信者情報開示請求を行う場合は、電話番号などアカウント登録情報から特定するか、ログインのための通信(侵害関連通信)の記録から特定する方法かを選ぶことになります。

②第2段階の請求

次に、Googleから取得した情報をもとにインターネット接続先プロバイダ(例えばdocomo、AU、Softbankなど携帯キャリア)を特定して、契約者の氏名・住所の開示を求めます。

本来は、別途、発信者情報開示請求の裁判を起こす必要がありますが、Googleから電話番号の開示を受けられた場合には、弁護士であれば弁護士照会制度を利用して電話契約者の照会をすることによって発信者の氏名・住所にたどり着けることがあります。それゆえ、発信者情報開示請求をしたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

 

(2)発信者情報開示命令

2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法で「発信者情報開示命令」という新しい手続が導入されました。これによって、1回の裁判(非訟)手続でサイト管理者と接続先プロバイダの両方に対して裁判所が決定で発信者情報の開示等を命ずることができるようになりました。さらに、開示命令の実効性を確保するために、サイト管理者に接続先プロバイダの情報を提供を命ずる「提供命令」、接続先プロバイダに対して発信者情報の消去禁止を求める「消去禁止命令」もできるようになりました。それでも投稿者の氏名・住所が特定できるまでには、通常6カ月程度の期間を要します。

発信者情報開示命令の導入後も、従来の手続も引き続き利用することができます。事案の内容によって適している手続が異なりますので、弁護士にご相談ください。

投稿者が判明すれば、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置を求めることが可能になります。

 

(3)判断基準

発信者情報の開示を請求することができるかどうかの判断基準は、①侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであること(権利侵害の明白性)、②当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使をするために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき(開示を受ける正当な理由)の両方がそろっているかどうかです。

これは実際のケースごとの個別判断となりますので、判断基準をみたすかどうかは弁護士にお問い合わせください。

 

6企業や従業員が受けた被害に対する客への損害賠償請求・刑事告訴

(1)従業員の権利侵害と損害賠償

従業員には、みだりに容貌等を撮影・公表されない「肖像権」や「プライバシー権」が認められています。

顧客がクリニックや店舗で接客中の従業員を無断撮影することは、通常、正当な目的を欠き、肖像権やプライバシー権を侵害する不法行為に当たる可能性があります。

不法行為が成立するかは、撮影場所、目的、態様、必要性などを総合考慮して侵害が受忍限度を超えるかどうかで判断されることになります。顧客対応をしている従業員を個人が特定されるアングルで無断撮影し、不特定多数が見ることのできるGoogleクチコミで公開する行為は、不法行為と認められる可能性が高いと思われます。

その場合、被害を受けた従業員個人は、不法行為に基づいて顧客に対して損害賠償を請求することができます。

 

(2)企業の権利侵害と損害賠償

企業側も、クリニックや店舗の施設管理権に基づき、無断撮影の禁止や中止を要求できます。

そして、企業の社会的評価や信用を毀損する投稿であれば不法行為を構成し得ます。企業が顧客に対して不法行為に基づく損害賠償を請求する場合、侵害行為と相当因果関係のある損害を立証する必要がありますが、風評被害が生じた期間の売上減少(前年度比など)を基に損害額を算出する考え方が参考になるかと思います。詳細につきましては、弁護士にお問い合わせください。

 

(3)刑事告訴

悪質なケースでは、顧客を警察や検察に刑事告訴して処罰を求めることもできます。

事実の摘示を伴う誹謗中傷を伴うのであれば「名誉毀損罪」、事実を摘示せずに中傷した場合は「侮辱罪」が成立し得ます。さらに、企業の社会的評価を害したり、業務を妨害した場合には「信用毀損罪」、「偽計業務妨害罪」、「威力業務妨害罪」などの成立もありうると思います。

どの刑法上の犯罪の構成要件に該当するかは具体的な事案に沿って判断する必要がありますので、弁護士にご相談ください。

 

7まずは弁護士にご相談ください

2015年に企業・経営者側の立場に特化した企業法務メインの法律事務所としてスタートして以来、業種も規模もさまざまな100社以上にわたる顧問先のリーガル・コンサルタントとして数多くの企業事例を取り扱い、法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をもご提供している事務所です。

弁護士法人森大輔法律事務所は、労務トラブルやインターネットトラブルから企業の経営を守りたいという想いから、誹謗中傷クチコミへの対応、従業員のSNSトラブル、問題社員の解雇、ハラスメントなどの問題に力を入れて取り組んでおります。

それゆえ、SNSトラブルへのスピーディーな対応はじめ、「カスハラ(カスタマーハラスメント)を学ぶ社内セミナー」「インターネットトラブルを防ぐ社内セミナー」などのセミナー(研修)開催、社内規程や就業規則の整備など、企業・経営者側の立場で適切な対策をとることができます。

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お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。

 

※弁護士法人森大輔法律事務所は企業・経営者側専門となります。利益相反を防ぐため、従業員(労働者)側からのご相談は現在、受け付けておりません。

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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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