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【Instagram・TikTok】自社製品のネガティブ動画がバズった!企業の法的・広報的対応

1ショート動画のネガティブ拡散が企業に与える深刻なダメージ

SNS、特にInstagramやTikTokによるショート動画の拡散スピードは数時間〜数日と非常に速く、拡散力は強烈です。

そのため、企業は自社製品のネガティブ動画がバズってしまうと、売上だけでなくブランドイメージや従業員・採用にもダメージを受け、さらに対応ミスによって二次炎上による深刻なダメージを受けてしまいます。

(1) 売上の減少

消費者の中で「この商品は買わない」という不買運動(ボイコット)が一気に広がって、売り上げが減少します。また、既存取引先である小売店やECモールが取り扱いを停止することもあります。さらに、新規契約や商談が凍結されることもあります。

(2)ブランドイメージの毀損

一度ついた悪い印象は、ネガティブ動画が削除されても人々の記憶やスクリーンショットに残り続けます。そして、「(企業名) 炎上」「(商品名) ひどい」といったワードがネット上の検索候補に出続けることになるため、長期的にブランドイメージを損ないます。

さらに、元のネガティブ動画が、まとめアカウントやニュースメディア、他のインフルエンサーに引用・拡散されることによって、ブランドイメージの毀損がSNSを見ない層にまで広がってしまいます。

(3)従業員や採用へのダメージ

自社製品がネガティブ動画によって叩かれている状況は、その企業で働いている人の心を消耗させるので、従業員の士気低下や離職を招きます。また、求職者が企業名を検索した際にネガティブ動画を見つけることによって、応募を敬遠されてしまいます。

(4)対応ミスによる二次炎上

最も怖いのが、自社製品のネガティブ動画に対する企業側の反応そのものが新たな火種になることです。

たとえば、不誠実な謝罪文、投稿者への高圧的な対応などのミスによって、さらに炎上して深刻なダメージを受けてしまうという悪循環に陥ります。

だからこそ、自社製品のネガティブ動画がバズった際には、感情的・場当たり的に動くのではなく、法的な視点を含めた冷静な初動をすることが重要になります。

 

2悪質な「検証動画」は名誉毀損や業務妨害にあたる?

「〇〇を検証してみた」「本当に効果あるのか試した」といった製品の検証系・実験系のショート動画は、一見すると客観的で真実に見えるので影響力が大きく、企業へのダメージも深刻になりがちです。

公正で誠実な検証であれば、消費者の利益にかなう正当な行為です。しかし、検証の名を借りた印象操作、検証結果の捏造、不当な条件設定がなされたような悪質な検証動画の投稿は「名誉毀損」「業務妨害」として罰金刑だけでなく拘禁刑にも問われる刑法犯罪となります。具体的には、以下のような投稿が「名誉毀損」や「業務妨害」になります。

(1)「名誉毀損」になる検証動画

名誉毀損罪は「公然と」「事実を摘示し」「人の名誉を毀損した」場合に成立します。

したがって、事実を示して企業の社会的評価(周囲からの評判)を傷つける内容の検証動画があてはまります。

たとえば、①正常に製品が作動している映像をカットして失敗シーンだけを繋いで「欠陥品だ」と印象づけたり、②想定外の高温・過負荷など極端な環境条件でのテストにもかかわらず通常使用で壊れたかのように偽って「壊れた」「使えない」と結論づけたりすることによって、企業の社会的評価を下げている検証動画の投稿は「名誉毀損」になります。

(2)業務妨害にあたる検証動画

業務妨害罪は「虚偽の風説を流布」または「偽計を用いて」、「人の業務を妨害」した場合に成立します。実際に妨害結果が出なくても、妨害の危険が生じれば足りる(危険犯)とされています。

したがって、嘘の情報や人をだます検証動画の投稿によって企業の仕事を邪魔するケースがあてはまります。

たとえば、①簡易な実験だけで「発がん性物質が検出された」「食べると健康被害が出る」と科学的根拠なく断定して「これはリコール対象だ」と虚偽情報を流したり、②検証動画の最後で「この商品は買うな、拡散して」と虚偽の検証結果とセットで不買・攻撃をあおったりしている検証動画の投稿は「業務妨害」になります。

 

3規約違反や権利侵害を理由とした迅速な動画削除の手順

InstagramやTikTokなど動画投稿サイトにおいては、利用規約違反や権利侵害(名誉毀損など)を理由に動画の削除を求めることができます。その手順は、以下の3ステップです。

(1)証拠の保存

InstagramやTikTokなど対象となる動画の「URL」をスクリーンショットで撮影し証拠として保存します。対象となる動画のURLを正確に控えておくことが、後の手続で重要となります。

(2)各サイトの公式「報告フォーム」

まず、各プラットフォームが用意している専用のオンラインフォームから運営会社に対して動画の削除を依頼します。裁判所の手続に比べて判断が柔軟であり、利用規約違反が認められればスムーズに削除される傾向にあります。

Instagramの場合は、運営会社であるMeta Platforms, Inc.(米国法人)のヘルプセンターにある報告用フォームから、利用規約違反の報告を行います。TikTokの場合は、日本向けの運営主体であるTikTok Pte. Limited(シンガポール法人)が定めたガイドラインに従って報告を行います。

(3)裁判所の「削除仮処分」

「報告フォーム」依頼で削除されない場合は、裁判所に削除仮処分を申し立てます。これは、通常の裁判よりも短い期間で裁判所に削除の命令を出してもらう手続です。

Instagramの場合はMeta Platforms, Inc.(米国法人)、TikTokの場合はTikTok Pte. Limited(シンガポール法人)を相手に申立てますが、日本で手続を進めることができます。削除仮処分によって、通常は3週間程度で動画が削除されます。

 

4匿名アカウントやインフルエンサーを特定する「開示請求」

悪質なネガティブ動画による被害を受けた会社としては、投稿者に対して損害賠償や謝罪を求めたり、二度と繰り返さないよう誓約させたりしたいことでしょう。そのためには、匿名アカウントの投稿者やインフルエンサーがいったい誰で、どこに住んでいるのかを特定することが必要です。

「発信者情報開示請求」は、インターネット上で名誉・信用などの権利を侵害した投稿者(発信者)の情報を取得できる手続です。発信者情報開示請求の手続の流れについてInstagramを例に挙げて具体的に説明します。

(1)運営主体の特定と裁判管轄

Instagramの運営主体は米国法人のMeta Platforms, Inc.です。同社は日本国内で代表者登記(東京都千代田区)を行っているため、日本の裁判所(東京地方裁判所など)を通じて手続を進めることができます。

(2)ログイン型SNSの特性と開示対象

Instagramは「ログイン型」のサービスであり、個別の投稿時の通信ログではなく、アカウントへのログイン時の通信記録(侵害関連通信)を保存しています。

そのため、ログイン時のIPアドレス(ネット上の住所のようなもの)の他、登録されている電話番号やメールアドレスを開示請求することができます。

(3)手続の流れ

①Meta社への開示請求

IPアドレスのほか、電話番号やメールアドレスの開示を求めます。

ただし、電話番号は発信者情報開示の仮処分では請求できないため、裁判外で任意開示されない場合は、開示されたIPアドレスから接続プロバイダを特定し、接続プロバイダに対して契約者の住所・氏名の開示を求める裁判(2段階の裁判手続)を行うことになります。

②発信者の特定

Meta社から電話番号が開示された場合は、弁護士会照会(弁護士が弁護士会を通じて行う調査手続)を通じて携帯電話キャリア(ドコモやソフトバンクなど)から契約者の氏名・住所の情報を入手します。

電話番号がなかった場合は、開示されたIPアドレスから接続プロバイダを特定し、接続プロバイダに対して契約者の住所・氏名の開示を求める裁判(2段階の裁判手続)を行うことになります。

(4)効率的な「発信者情報開示命令」

かつてはMeta社や接続プロバイダが任意に応じない場合には2段階の裁判手続が必要でしたが、2022年の改正プロバイダ責任制限法で創設された「発信者情報開示命令」という制度を利用することによって、Meta社への請求と接続プロバイダへの請求を1つの簡易・迅速な裁判(非訟)の中で一体的に進められるようになりました。

(5)どちらを利用するか?

改正プロバイダ責任制限法による「発信者情報開示命令」に関する裁判手続は、スムーズに進めば時間短縮が期待できます。しかし、サービス提供事業者側(運営会社や接続プロバイダ)が異議申し立てをおこなうと通常の裁判手続に移行するため、かえって時間がかかることもあります。

したがって、どちらの手続を利用するとスムーズかにつきましては、開示請求に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

発信者情報開示請求をする場合の進め方につきましては、「発信者情報開示請求とは?口コミ投稿者を特定する方法を弁護士が解説」の記事でわかりやすく説明しておりますので是非ご覧ください。

発信者情報開示請求とは?口コミ投稿者を特定する方法を弁護士が解説

 

5二次炎上を防ぐための公式アナウンスと適切な広報対応

自社製品のネガティブ動画がバズった際に企業側が対応ミスしてしまうと、さらに炎上してダメージを受けてしまう(二次炎上)という悪循環に陥ります。したがって、感情的・場当たり的に動くのではなく、法的な視点を含めた冷静な初動をすることが重要です。

企業がInstagramやTiktokで自社商品のネガティブ動画が拡散された際、二次炎上を防ぐための対応ポイントは以下の4つです。

(1)迅速な「第一報」の発信

企業は被害者ではありますが、顧客である一般消費者等に向けて、心配や騒がせたことに対する謝罪を速やかにした方がよいです。

事実確認に時間がかかる場合であっても、6時間以内に自社ホームページなど公式アカウントにおいて「事実関係を調査中であること」や「世間を騒がせていることへの謝罪」をアナウンスします。

この際、情報を隠したり、不用意に動画投稿の削除依頼を行ったりすることは、隠蔽工作と見なされて炎上を加速させるため厳禁です。

(2)社会的責任への配慮

たとえ企業側に法的な落ち度がなくても、正当性ばかりを主張すると社会的・道義的な配慮を欠くという印象を世間に与えてしまい批判を浴びる原因となります。

企業の目的が事業の継続にある以上、広報は、企業が社会的責任や道義的責任に配慮する意図を有していないという印象を社会に与えないよう要注意です。

(3)ネガティブな内容の特定を避ける

公式アナウンスでは問題の動画について詳しく紹介せず、概括的に触れるにとどめます。なぜなら、ネガティブな内容について詳細に触れすぎるとかえって注目を浴びるリスクがあるうえ、投稿者に「自分の投稿が企業に影響を与えた」という成功体験を与えて更なる投稿を誘発するリスクがあるからです。

(4)窓口の一本化と社内共有

公式アナウンスはじめ情報を外部に出す窓口は広報担当者に一本化します。また、全ての社員に対して外部への対応方法を事前に共有することによって、企業側の不用意なコメントによる新たなトラブルを防ぎます。

 

6まずは弁護士にご相談ください。

(1)削除依頼から二次炎上の防止・裁判手続まですべて対応できます

現代は、インターネット上の投稿が何年もかけて築きあげた企業のブランドイメージを瞬時に崩壊させてしまう時代です。悪質な投稿を無視して放置することは、将来の顧客や求職者を失い続ける結果を招きかねず、経営にとって大きなリスクです。

被害が拡大する前に「適切な対応」を「スピーディーに」とることが重要です。少しでも不安を感じたら、インターネットトラブルに詳しい弁護士へ、速やかに相談することをおすすめします。

弁護士であれば、投稿の削除が認められる可能性が高いか法的観点から検討してアドバイスできます。必要に応じて、裁判手続を進めることもできます。

また、二次炎上を防ぐための公式アナウンスの文面を作成したり、適切な広報対応についてアドバイスしたりできます。

さらに、投稿者への断固たる措置として、発信者情報開示手続により投稿者が誰かを特定して、損害賠償の請求や示談交渉、名誉毀損罪・業務妨害罪での刑事告訴をすることもできます。

このように、弁護士であれば、削除依頼から二次炎上の防止・裁判手続までオールマイティに対応できますので、経営者様の精神的ストレスや時間・労力を軽減できます。そして、弁護士が代理人として交渉することによって、再発防止策を盛り込んだ和解案での示談など根本的な解決を実現してビジネスを守ることができます。

したがって、悪質な投稿でお悩みの場合は、弁護士に相談・依頼することをおすすめいたします。

(2)24時間いつでもお問い合わせOK

弁護士法人森大輔法律事務所は、2015年に企業法務メインの法律事務所としてスタート以来、業種も規模もさまざまな100社以上にわたる顧問先のリーガル・コンサルタントとして数多くの企業事例を取り扱い、法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をもご提供している事務所です。

我々は、悪質なネット投稿から会社を守りたいという想いから、誹謗中傷・風評被害の対策に力を入れております。

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・誹謗中傷など悪質な投稿にお悩みの方

・放置して大丈夫な投稿なのか、どう対応したら良いかわからず不安な方

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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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