
Contents
従業員による不適切なSNS投稿、たとえば会社の機密情報や顧客情報の漏えい、飲食店の厨房での不衛生な写真投稿などは、会社の信用失墜、売上減少、被害者からの損害賠償請求などにつながるリスクがあります。
特に、社内の機密情報や顧客情報についての投稿は、会社に直接的な損害を与えやすく、投稿者本人だけでなく、会社も被害者から使用者責任を問われる可能性があります。
リツイートやシェアで広範囲に拡散し炎上することによって、苦情が殺到して離職者も増え、その結果、営業困難になって倒産に追い込まれた事例もあります。
弁護士の立場で端的に言うと、従業員によるSNS投稿は、個人の問題で終わらず、会社の法的責任と経営リスクに直結するという点でしっかりと対策が必要な課題と言えます。
従業員による不適切なSNS投稿が発覚した際、会社は以下の手順で迅速な初動対応を行うべきです。
まず投稿が削除・修正される前に、スクリーンショットやプリントアウトによって投稿内容を証拠として保存します。リツイートやシェアで拡散し炎上している場合は、拡散状況もスクリーンショット等で証拠として保存します。
これらは後に従業員に対する懲戒処分や損害賠償を請求するとき、不可欠な証拠として重要になります。
会社側で、不適切な投稿の具体的な内容、投稿された時間(業務時間中か否か)、投稿者の意図(故意か過失か)、使用されたアカウントの種類(会社の公式アカウントか、個人のプライベートアカウントか)、会社が貸与したパソコン使用の有無、投稿が会社に与えた影響の有無などの事実関係を調査します。
投稿した従業員が誰なのか社内調査でわからない場合は、発信者情報開示の手続によって特定することができます。詳細は「発信者情報開示請求とは?口コミ投稿者を特定する方法を弁護士が解説」の記事で分かりやすく解説しておりますのでご覧ください。https://moridaisukelawoffices.com/page-2039/page-2683
投稿をした従業員が判明したら、その従業員と面談を行い、投稿に至った経緯や理由について事情聴取を行います。
混乱を避けるため、その従業員を自宅待機させることを検討します。
証拠保全を完了した後は、従業員に対して問題となった投稿を削除するよう任意の協力を求めます。
従業員が削除に速やかに応じない場合は、拡散によって被害が拡大するのを防ぐため、SNS管理者に対して削除要請を行います。詳細は「企業への誹謗中傷を削除したい!サイト別の口コミを削除する方法を弁護士が解説」でご紹介しておりますのでご覧ください。https://moridaisukelawoffices.com/page-2039/page-2678
機密情報や個人情報が投稿によって漏えいし取引先や顧客が被害を受けた場合は、迅速に謝罪し対応について協議します。
また、不適切画像が投稿された場合は、社会的影響や炎上の状況に応じて、事実説明や謝罪のための公表を検討します。その際には、事実関係の説明や謝罪だけでなく、関係者の処分の内容(個人情報や名誉棄損の問題に該当しない範囲で)や、食材の廃棄、店舗の閉鎖など事後的な会社の対応にも言及した方が良いと思います。
会社の公式アカウントからの不適切なSNS投稿については、業務の遂行過程で投稿を行ったものといえるので懲戒処分が可能です。
また、会社貸与のパソコンである場合、業務時間中にSNSへの投稿が行われたような場合も、職務専念義務に違反して企業秩序を直接侵害したものとして懲戒処分を検討することが可能です。
これに対して、従業員個人のアカウントからのプライベートな投稿の場合、SNSへの投稿は従業員の私生活上の自由な行為としてなされたものですので、仕事と無関係なプライベートの投稿であれば、原則として会社による処罰の対象にはなりません。
会社による処罰が認められるのは、主に①顧客情報や社外秘の情報を漏えいさせた場合、②会社への誹謗中傷、飲食店の厨房での不衛生な写真投稿で会社の社会的評価を著しく傷つけた場合など、会社の秩序を乱したり実害を与えたりしたケースに限定されます。
会社が従業員を懲戒処分するためには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別および事由を定めておくことを要します。したがって、実際に有効な処罰を行うためには、就業規則にSNS利用によりトラブルが発生した場合に懲戒処分とする旨、およびその場合の懲戒処分の内容を明確に定めておくことが必要です。
また、処罰の内容は投稿の悪質さや被害の程度に見合ったものでなければならず、合理性を欠く重すぎる処分(いきなりの懲戒解雇など)は「権利の濫用」として法律上無効となる可能性が高いです。
不適切なSNS投稿をした従業員に対する懲戒処分の軽重をどのような要素により判断するのかについては定まった考え方があるわけではないのですが、①投稿の内容、②投稿に至った経緯、③投稿が会社の信用に与える影響の有無・程度などの要素、および過去の同種事例での処分内容を考慮して判断することになります。事案ごとの判断が必要になりますので、弁護士にお問い合わせください。
不適切な投稿を行う従業員の多くは、自分の投稿がそこまで大勢の人たちに見られるという意識が薄いため、悪気なくこのような行為に及びます。
したがって、「SNS投稿リスクを学ぶ社内セミナー」等を通じて、従業員に対して、SNSがリツイートやシェアで広範囲に拡散し炎上すること、匿名であっても発信者情報開示請求で氏名・住所が判明すること、不適切な投稿は刑事・民事上の責任を招くリスクがあることについて十分に認識させて予防することが重要です。
「SNS利用規程(ガイドライン)」を作成し、どのような投稿が不適切な投稿として禁止されているのかを具体的に示します。①会社の事業活動に直接関連を有するもの、②会社の社会的評価の毀損をもたらすものを軸として、禁止行為を列挙するとよいと思いますが、投稿制限は会社の利害に関係する範囲にとどめ、従業員の表現の自由を過度に侵害しないよう注意が必要です。
また、就業規則に服務規律や懲戒事由を明文化し、不適切な投稿が処分の対象となることを周知します。さらに、従業員に「SNS利用に関する誓約書」を提出させて、SNSのリスクや禁止事項を再認識させると良いでしょう。
万一、従業員の不適切な投稿による問題が発生してしまった場合に備えて、「SNS利用規程」には、速やかに従業員に不適切な投稿の削除を命じたり懲戒処分を行うことができるよう、事後対応についても定めておくと良いでしょう。
弁護士法人森大輔法律事務所は、2015年に会社・経営者側の立場に特化した企業法務メインの法律事務所としてスタートして以来、業種も規模もさまざまな100社以上にわたる顧問先のリーガル・コンサルタントとして数多くの企業事例を取り扱い、法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をもご提供している事務所です。
我々は、労務トラブルから会社の経営を守りたいという想いから、従業員のSNSトラブル、問題社員の解雇、ハラスメントなど労務問題に力を入れて取り組んでおります。
したがって、SNSトラブルへのスピーディーな対応はじめ、社内セミナーの開催、社内規程や就業規則の整備など、会社・経営者側の立場で適切な対策をとることができます。
・従業員のSNSトラブル、問題社員への対応に苦慮されている方
・社内における労務トラブルでお困りの方
・ネットでの誹謗中傷・風評被害など悪質な投稿に頭を悩ませている方
・幅広い法務・労務の相談にスピーディーで親身に対応できる顧問弁護士が必要な方
・社内マニュアル、契約書、広告、商標などのリーガルチェックや社内セミナーも気軽に頼める顧問弁護士がほしい方
弁護士法人森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでもご相談できます。
【ご相談はこちら】
労務トラブルやネットトラブルに詳しい弁護士が喜んで対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
オンラインWeb会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでも対応できます。
もちろん、直接オフラインでお会いしてお話を伺い、資料を一緒に見ながらのご相談も大歓迎です。
弁護士法人森大輔法律事務所は、東京・東銀座(歌舞伎座の向かい)にあります。
東京メトロ銀座線・東銀座駅6番出口と直結していますので、アクセスが大変便利です。
お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。
※弁護士法人森大輔法律事務所は会社・経営者側専門となります。従業員(労働者)側からのご相談は現在、受け付けておりません。
