
Contents
従業員が会社への不満をつのらせて労基署に通報することが多いケースとしては、以下のような違反行為があります。
①賃金(残業代)の未払い
②違法な長時間残業
③休憩を取らせてもらえない
④休日を適切に与えられない
⑤年次有給休暇を取得させてもらえない
労基署に通報された場合、以下の流れで調査や処分の手続きが進行します。
通報を受けて、労働基準監督官が事業場に対して行う立ち入り調査(臨検)が行なわれます。
臨検は、必ず事前予告がなされるわけではなく、予告なしで行われる場合もあります。
実務上は、悪質な事案や緊急性の高い事案などを除き、事前予告のあることが多いです。
事前予告を受けた場合、労働者や労働環境に関する資料を用意する必要があります。
臨検当日は、労働基準監督官が事業場を訪れて、事業場の管理者や担当者に対して帳簿や書類の提出を求めたり、尋問を行ったりして、法令違反がないか調査します。
法令違反とまでは言えないものの改善が望ましい事実が見つかった場合は、事業場に対して指導票が交付されます。
労働基準法などに明確に違反する事実が見つかった場合には、事業場に対して是正勧告が行われます。
指導票の交付または是正勧告で指摘された事項については、労働基準監督官が指定する期間内に改善して、是正・改善報告書を提出します。
企業は労基署の立ち入り調査(臨検)を拒むことはできません。
臨検の際、帳簿・書類の提出や尋問を拒んだり、虚偽の書類を提出・虚偽の陳述をしたりすることは違法です。
臨検を受ける際は、以下の知識を身につけて、しっかり対応しましょう。
労働基準監督官の臨検では、労働条件や労働環境に関する資料の提出を求められます。
例えば、残業代未払い疑惑での臨検の場合は以下のような資料です。
①事業場の組織図
②労働者名簿
③就業規則
④雇用契約書、労働条件通知書
⑤賃金台帳
⑥勤怠管理システムやタイムカードの記録
⑦労使協定(36協定届)
⑧有給休暇の取得状況に関する管理簿
労働基準監督官が事業場へ訪問した際に、このような資料をスムーズに提示できるよう用意しておきましょう。
労働基準監督官は、提示を受けた資料をチェックした上で、資料を見ただけでは分からないことについて事業者に質問をします。
その際、事業者としては、資料に書いていない事情についても、実態に沿って誠実に回答することになります。
労働基準監督官の質問に対して虚偽の回答をすることは違法であり、刑事罰の対象となるので注意が必要です。
立ち入り調査の結果、法令違反や改善が望ましい事実が確認されると、その重大性に応じて是正勧告書または指導票が交付されます。
いずれの場合も、企業はその内容にしたがって指定された期日までに是正して是正・改善報告書を提出する必要があります。
是正・改善報告書には、①問題の認識、②改善措置の内容、③再発防止策を詳細に記載します。
そのために、まずは労働基準監督官からの指摘事項を正確に理解して、根本原因を分析します。
そのうえで、具体的な改善計画を策定して、さらに実施状況を定期的に確認する体制を構築していくことになります。
もし労働基準監督官から臨検の予告を受けた場合、その時点で企業法務に詳しい弁護士に相談することをオススメします。
臨検の前に相談すれば、弁護士から、臨検当日の注意点や事前準備についてアドバイスを受けたり、臨検に同席してもらうことができます。
臨検に弁護士が同席することで、論点の整理や今後の対応について細かく打ち合わせが可能となります。
また、労働基準監督官の指摘する事項が法令上正しいかその場で確認したり、法令にのっとって反論することができます。
さらに、反論できる事情がないかを弁護士の視点からも探したり、労基署に提出した資料には表記されていないが会社として反論したい事情を、労基署に主張することもあります。
是正勧告を受けた場合にも、速やかに弁護士に相談することをオススメします。
是正勧告は労働基準法等に明確に違反している場合であるため、対応を怠ると送検されて刑事罰を受けるリスクが高いからです。
弁護士が対応することで、労基署から指摘された事項をどのように改善すれば良いか、専門的な見地から提案や助言をすることができます。
弁護士が事業場の実態に合わせた是正方法や社内体制の整備について提言しサポートすることによって、実効的で内容の充実した是正・改善報告書を作成できます。
労基署に通報されてしまうと、臨検や是正勧告への対応に多大な労力を要するうえ、刑事罰のリスクも生じます。
そのため、そもそも労基署に通報されることがないよう、日頃から労働基準法をはじめとする法令を遵守した社内体制を整えておくことが何よりの対策です。
たとえば
①雇用契約書、労働条件通知書、就業規則などを整備して労働条件を明確化する
②長時間労働となっている社員はいないかチェックして労働時間を適切に管理する
③定期的に従業員の健康診断を実施してメンタルヘルス含め従業員の健康状態に配慮する
④客観的な勤怠管理システムを導入して賃金未払いがないようにする
⑤業務プロセスを見直して残業時間を削減する
⑥従業員が会社への不満をため込まないよう定期的な個人面談など対話の機会を増やす
など、事業者が整えるべき事柄は数多くあります。
このような対策を適切に行うためには、継続的に会社を見守りサポートしている顧問弁護士からアドバイスを受けることが効果的です。
労基署に通報されることがないようコンプライアンス(法令遵守)の強化を進めたい企業には、顧問弁護士をつけることをオススメします。
労働基準法や労働安全衛生法に違反する行為の多くは、罰則の対象とされています。
また、労働基準監督官の是正勧告に従わなかった場合も、罰則の対象とされています。
そのため、是正勧告に従わない場合や悪質な法令違反が認められた場合、企業は送検されて刑事罰を受けるリスクがあります。
さらに、重大な違反については、厚生労働省が「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として企業名と違反内容を実名で公表しています。
この企業名の公表は、企業の社会的信用を失墜させて、取引先からの契約解除、優秀な人材の流出、新規採用が難しくなるといった深刻な影響をもたらします。
このようなリスクを回避するためには、そもそも労基署に通報されることがないよう、日頃から労働基準法をはじめとする法令を遵守した社内体制を整えておくことが何よりの対策です。
たとえば労働条件の明確化、労働時間の管理、業務の効率化などです。
これらの対応を法令に沿って適切に行うためには、継続的に会社を見守りサポートしている顧問弁護士からアドバイスを受けることが有益です。
顧問弁護士がいれば、いつでも相談して法的アドバイスを受けられます。
従業員とのトラブルが生じた際にも、法的観点から穏便に解決するためのサポートを受けられます。
また、労務問題の他にも、たとえば契約書や広告のリーガルチェック、社内マニュアルの作成、取引先とのトラブルへの対応などにも、すべて顧問弁護士からのサポートを受けることができます。
労基署に通報されないような社内体制を構築したい企業や、その他の観点からもコンプライアンス(法令遵守)の強化を進めたい企業は、顧問弁護士との契約をご検討ください。
森大輔法律事務所は、2015年に会社・経営者側に特化して労務トラブルに対処できる法律事務所としてスタートして以来、労働基準監督署への対応、問題社員の解雇、ハラスメント、労働審判、団体交渉への対応など幅広い労務問題に力を入れて取り組んでおります。
労務問題に関する数多くの法規や裁判例に幅広く目配りして、事前のリスク予防からトラブル発生時における交渉・労働審判・裁判・マスコミ対策まで対応しております。
・労働基準監督署への対応にお悩みの方
・コンプライアンス(法令遵守)を強化したい方
・会社に不満をもつ従業員への対応に苦慮されている方
・社内で発生した労務トラブルをなんとかしたい方
・幅広い法務・労務の相談にスピーディで親身に対応できる顧問弁護士が必要な方
・契約書や広告のリーガルチェックも気軽に頼める顧問弁護士がほしい方
森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでも相談できます。
【相談はこちら】
企業法務に詳しい経験豊富な弁護士が喜んで対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
オンラインWeb会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでも対応できます。
お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。
