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「電話かけ放題」の留意点

 2019年12月18日の朝日新聞DIGITALで、「「電話かけ放題」はダメ 携帯広告、自主基準改定へ」という記事が配信されました。この記事の内容は、当然のことながら、電話のかけ放題そのものを禁止するというものではありません。これは携帯電話会社が、消費者に対して自社の携帯電話プランで契約してもらうための宣伝広告として、上記のような表示をすることを携帯大手など通信会社でつくる業界団体で自主規制するというものでした。他方で、家族のみ1回10分かけ放題」ならOKとのことのようです。
 これまでは、通常でしたら「電話かけ放題」という表示を大きなポイントの文字で表示し、その周囲に小さなポイントの文字で「※但し家族間のみの適用となり、1回あたり10分までという制限があります。」などという注意書きがなされることが多かったと思います。この「電話かけ放題」という表示を強調表示と言い、上記注意書きのことを打消し表示と言いますが、この打消し表示は強調表示に比べて文字も小さく、目立たない箇所に記載されることが多く、消費者を誤認させることも多く、不当表示表示(本件では有利誤認となります。)となる可能性が十分にありました。
 業界団体で広告の表示内容について自主規制を行うというのはこれまであまり例がありませんでしたが、非常に有益なことであろうと思われます。そもそも不当表示が行われるのは、同業他社よりも自社の商品の有益性を強調するがために行われてしまうのです。一社だけ不当表示を防ぐために取り組みを行っても、同業他社が不当表示とも評価されかねない広告で売り上げを伸ばしていけば、不公平感は否めず、結果的に不当表示を防ぐための取り組みをする企業はなくなってしまいます(当然、不当表示になれば課徴金とう制裁もありますが、それだけでは限界はあるものです)。ですので、不当表示を防ぐためには、競争相手である同業他社も含めて業界全体で不当表示を規制する必要があるからです。
 今後もこのような業界団体による自主規制というものが進むことで不当表示そのものが少なくなることを期待するばかりです。

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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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