株式会社ジャパネットたかたの不当表示について

 令和2年12月23日に、消費者庁が「株式会社ジャパネットたかたに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」という報道資料を公開しました。

 これは、同社が提供するエアコン8商品の表示について、会員カタログで、「ジャパネット通常税抜価格 79,800円」(正式には、バツ印)、「2万円値引き」、「さらに!会員様限定2,000円値引き」、「値引き後価格 会員様特価 57,800円」と表示して、あたかも「ジャパネット通常税抜価格」等という価格は、同社で通常販売している価格であると表示したものです。しかしながら、実際には、同社は、この「ジャパネット通常税抜価格」について、最近相当期間にわたって販売した実績がありませんでした

 それでは、この表示は、景品表示法上、何が問題になるのでしょうか。

 景品表示法第5条第2号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、価格その他の取引条件について、一般消費者に対し、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。これは、有利誤認表示の禁止といわれるものです。

 そして、特に、価格に関する表示は、一般消費者がその商品やサービスを選択するかどうかを決断する際に、最も考慮する重要な情報です。そのため、消費者庁は、「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)を公表して、どのような価格表示が、一般消費者に誤認を与え、景品表示法違反となり得るのかについての考え方を明らかにしています。

 この価格表示ガイドラインによれば、ジャパネットたかたの事案のように、過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示について、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り、不当表示に当たる可能性があります。

 そして、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」というのは、一般的には、

a 比較対象価格での販売期間が通算2週間以上

  かつ

b セールの各時点において、当該各時点からさかのぼる8週間(販売期間が8週間未満の場合は
  全販売期間)において、比較対照価格で販売されていた期間が当該商品の販売期間の過半数を占めており

  かつ

c 比較対照価格で販売された日からセール開始までに2週間経過していないこと

という要件を満たすものをいうと考えられています(価格表示ガイドライン第4の2(1)ア(ウ)参照)。

 先ほどご紹介したジャパネットたかたの事案の「ジャパネット通常税抜価格」は、a~cの要件を満たさず、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に該当しませんでした。そうであるにも拘わらず、同社は、「ジャパネット通常税抜価格」を比較対照価格として用いて、実際の販売価格が値引きされて安くなったかのように表示していたため、消費者庁は、有利誤認表示と認定したのです。

 なお、上記のa~cの要件の中でも特に注意が必要なのが、bの要件です。bの要件は、「セールの各時点」と記載されております。そのため、例えばセールを3日間行ったとした場合、セール初日の時点からさかのぼった8週間のうち比較対象価格での販売期間が過半数を占めていれば良いということにはなりません。翌日のセール2日目、3日目もそれぞれ同じようにその日からさかのぼって8週間のうち比較対象価格での販売期間が過半数を占めるものでなければいけません。そのため、結果的に4週間を超えるセールというものは必然的にbの要件を満たさなくなってきますので注意が必要です。

 今後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い通信販売が盛んになり、オンラインショッピングのサイト上には、価格表示ガイドラインの考え方に沿わない不当表示が多く現れてくると思います。消費者庁がどういった商品・サービスの表示に着目して課徴金納付命令を行うのか注目していきたいと思います。

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