MENU

【弁護士が解説】「利用者満足度第1位」や「口コミ人気度第1位」に対する措置命令事案

 消費者庁は1月12日に、オンライン家庭教師事業の「バンザイ」が、ウェブサイトやパンフレットの広告で「利用者満足度第1位」や「口コミ人気度第1位」などと表示したことに対して措置命令を行ったことを公表しました。

 では、なぜ措置命令を受けてしまったのでしょうか。報道によりますと、「利用者満足度第1位」や「口コミ人気度第1位」について、実際に利用をしたことがない人も含めて、満足度や人気度が高そうな会社をサイトの印象だけで選ばせていたことが原因のようです。

 通常であれば、「利用者満足度第1位」や「口コミ人気度第1位」という広告を見れば、それを実際に利用した人たちに対してリサーチ会社がアンケートを行った結果であると思うのが一般的です。通常の消費者であればそのように思います。

 それにもかかわらず、実際に利用していない人たちを対象に含めてしまっていては、消費者に誤認を与えることとなってしまうのです。実際に利用していない人たちの評価が入ったものであるとすれば、そもそも「利用者満足度第1位」という言葉と明らかに齟齬しますし、ほとんど信頼性がない評価ですからそれで商品役務の優良性を訴えようとすれば、広告の表示と商品役務の性質効果について齟齬が生じることになりますから、優良誤認とならざるを得ません。

 そのため今回、優良誤認として措置命令を受けたものと考えます。

 そして、このリサーチ会社の実際に利用をしたこともない人を対象としたアンケート方法は従来から広く行われているので注意が必要です。弊所においてもこのような類似の相談は多いですが、そのほとんどがこのリサーチ会社のアンケートの結果を掲載しようとするものです。この点、中には表示したい内容に辻褄を合わせるようにアンケートをしてくれる業者もあるようです。しかし、このように単に辻褄があうだけのようなアンケートであれば、表示と実体に齟齬が生じ優良誤認になりかねませんので注意が必要だと思います。

 

 類似の広告文についてはこちらをご覧ください。

「顧客満足度99%」「業界No.1」などの広告は危険?景表法上の問題について弁護士が解説

The following two tabs change content below.

森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

弁護士コラムの最新記事

NEWS & TOPICS 新着情報