MENU

このクチコミは名誉毀損?Googleクチコミが名誉毀損になるケースを弁護士が解説

1 Googleクチコミが名誉毀損となる条件

(1)「名誉毀損」とは

Googleマップのクチコミやレビューは商品やサービスの利用者が素直な感想を書くものではありますが、何を書いても許されるわけではありません。
名誉毀損罪に該当するような悪質な内容のクチコミに対しては、削除を求めたり、投稿者を特定して損害賠償を請求することができます。
「名誉毀損」とは、人の社会的評価を低下させる可能性のある具体的な事実を、不特定多数の人が知ることができる状態で示す行為です。
では、どのようなクチコミであれば、名誉毀損と認められるのでしょうか?

(2)名誉毀損と認められるための条件

名誉毀損と認められるためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

ア.公然と

不特定または多数の人が認識できる状態のことです。
Googleクチコミは誰でも閲覧できるので、「公然と」の要件を満たします。
したがって、Googleクチコミが名誉毀損になるかどうかの判断は、イ(事実を適示して)とウ(人の名誉を棄損した)の条件を満たしているかがポイントになります。

イ.事実を摘示して

人の社会的評価を低下させるような具体的な事実を示すことです。
「事実」とは、証拠などによって真偽を判断できる具体的な事柄を意味します。
たとえば、飲食店への「料理が美味しくない」というクチコミは、ネガティブなものではありますが、あくまでも個人の感想であり、真偽を判断することはできません。
したがって、イの条件をみたさないことになります。
なお、イの条件をみたすかの判断において、示された事実の内容が嘘であるか真実であるかは問われません。

ウ.人(法人も含む)の名誉を毀損した

「名誉」とは、その人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価(社会的評価)のことです。
クチコミの内容が、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、その人の社会的評価を低下させると判断されれば、「人の名誉を棄損した」の要件をみたします。
たとえば、犯罪行為、不倫など一般的に世間から後ろめたい評価を受ける事柄については、社会的評価を下げる内容と評価されやすいといえます。
なお、たとえば「N医院の院長は結婚しているのに、奥さん以外の異性と不倫している」という院長の名誉を貶めるクチコミがあった場合、それが全体的に見て院長個人のみならず病院の評判を貶めるものと評価できる場合には、院長個人に対する名誉毀損と同時に、病院に対する名誉毀損も成立することもあります。

(3)公共の利害に関する場合の特例

以上3つの条件をみたしたとしても、刑法第230条の2によって、記事の内容が真実であれば、記事が公共の利害に関するもので、公益目的で公表された場合、違法な名誉毀損にあたらないとされています。
簡単にいうと、たとえ会社やお店にとっては不都合な内容であっても、真実であり、それを公表することが社会のためになると認められる事項であれば、違法な名誉毀損とはならない可能性があるということです。
したがって、投稿されたクチコミを削除するためには、書き込みの内容が虚偽であることを証拠に基づいて主張する必要があります。
書かれている内容が虚偽であることについて特段の証拠がない場合には、クチコミが公共の利害に関するものではないこと(単なるいやがらせ等)や、公益目的で書かれたものでないことについても、削除を求める法律上の根拠として主張していくことになります(但し、単なる嫌がらせかどうかの立証は難易度が高いです)。
これらに関しては、具体的なケースごとに方針が異なりますので、弁護士にお問合せください。

 

2 名誉毀損になりやすいクチコミの例

一般に、Googleクチコミで名誉毀損が認められやすいジャンルとしては、飲食店へのクチコミ、美容院へのクチコミ、旅館・ホテルへのクチコミ、病院へのクチコミがあります。

(1)飲食店へのクチコミの例

・料理にゴキブリの足が入っていた。
・注文時と精算時で提示される価格が異なっていた。

(2)美容院へのクチコミの例

・無理やり高級シャンプーを売りつけられた。
・美容師が無断で体を触ってきた。

(3)旅館・ホテルへのクチコミの例

・この旅館の主は元ヤクザで、客に対しても気に入らないことがあればすぐ怒鳴る。
・このホテルでは盗難事件が多発していて、スタッフが犯人の可能性が高い。

(4)病院へのクチコミの例

・必要な検査をせずにいい加減な診断をしている。
・この病院の代表医は医療ミスを繰り返しているが、金の力でもみ消している。

 

3 名誉毀損となる場合にできること

(1)Googleに対する削除請求

Googleポリシーでは、Googleのサービスを使用して他の個人やグループを攻撃するような悪質で不適切な内容の投稿を禁じています。
名誉毀損となるクチコミであれば、Googleの「不適切なクチコミを報告する」制度を利用した削除依頼によって消してもらえる可能性が高いです。

(2)名誉毀損を理由として損害賠償請求

プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報の開示を請求することで、投稿者を特定できます。
そのうえで、特定された発信者に対して、名誉毀損を理由として損害賠償を請求する裁判ができます。
弁護士に対してこのように投稿者を特定して訴えることを依頼する場合、費用が発生しますが、決して安いものではありません。
しかし、クチコミを削除してもまたすぐ投稿されて、いたちごっこになって業務に支障が出ているような場合には、投稿者を特定して損害賠償の裁判手続をおこなう対応が被害を最小限にとどめるのに効果的です。
どこまでの法的措置をとるべきかについては、弁護士とよくご相談されることを推奨します。

 

4 Googleクチコミが名誉毀損とならなかった場合にできること

(1)「侮辱」を理由に削除請求

名誉毀損とならないような投稿でも、例えば「P社長は無能だ、キモい、死ね」など、具体的な事実の適示なく人を侮辱するクチコミについては、侮辱の内容が、人種・国籍・民族・宗教・年齢・障がい・性的指向などを理由にした中傷や蔑称の場合はヘイトスピーチとして削除請求できる可能性があります。

(2)裁判所に削除仮処分の申立て

Googleに任意で削除してもらえない場合は、削除仮処分の申し立てを裁判所に行うこととなります。
仮処分においては、任意での削除申請と基本的には同じような法的主張を行います。
裁判所の仮処分による削除命令が出れば、たいていGoogleはそれに応じます。
仮処分が決まった場合、およそ2週間で、クチコミが削除されております。
削除仮処分の申立てでは、説得的な理由を述べる必要があるほか、添付書類を含めて英訳を用意する必要があるため、個人での準備はハードルが高いものとなっています。
任意削除の申し立てが功を奏さなかった場合には、一度、弁護士にご相談頂くことをおすすめします。

 

5 名誉毀損とはならないクチコミの例

Googleクチコミでは「コメントがなく星1つだけ」というケースもよくあります。
このような低評価のみのクチコミも、会社やお店の評価を下げる可能性はあります。
しかし、このようなクチコミは、あくまでも個人の感覚的な感想であり、名誉毀損の成立要件である「具体的な事実を挙げているもの」ではありません。
そのため、名誉毀損とはならず、当該クチコミを名誉毀損を理由に削除することは難しいでしょう。
このようなクチコミに対しては、高評価のクチコミを増やすことによって希釈化する対応が有効であるようです。

 

6 まずは弁護士に御相談ください

(1)クチコミの削除から投稿者の特定、損害賠償まですべて対応できます

会社や個人に対するWEB上での名誉毀損を伴う誹謗中傷は、身近で深刻な問題となっています。
対応に時間がかかると、情報が拡散してお問合せが殺到したり、集客や売り上げが減少するなど、悪影響が大きくなるリスクがあります。
被害を最小限にとどめるためには、情報が拡散される前にスピーディに対応することが重要です。
したがって、悪意のあるクチコミを発見した場合には、掲載されたWEBページを印字し、URL、投稿者(匿名でもOK!)、書き込み日時、内容を記録したうえで、速やかに弁護士に相談することをオススメします。
誹謗中傷対策に精通した弁護士であれば、誹謗中傷が名誉毀損にあたるか、削除や損害賠償を請求できるか等について、適切に判断して法的な見通しを立てられます。
そのうえで、効果的なクチコミの削除依頼、投稿者の特定、損害賠償の請求まで複雑な法的手続に対して適切に対応できます。

(2)森大輔法律事務所は、誹謗中傷対策に力を入れております。

森大輔法律事務所は、企業法務をサポートする事務所としてスタートしましたが、会社に対するWEBでの誹謗中傷が増加した時代背景に合わせて、誹謗中傷対策にも注力し、クチコミ削除の御相談や御依頼を10年間で数多くお受けして参りました。
ゆえに、クチコミ削除へのスピーディーな対応、損害賠償の裁判対応などすべての法的なご要望に対してオールマイティに対応できます。
クチコミ削除に成功した実績も多数ございます。
これまでのクチコミ削除に関する御相談や解決事例の一部、および、ネットトラブルに関するサポートプランをホームページでご案内しておりますので、ぜひご覧ください。
誹謗中傷対策・情報開示請求・風評被害対策 | 森大輔法律事務

(3)24時間いつでも問い合わせOK!

森大輔法律事務所は、誹謗中傷への対応に強い弁護士が、最適な方法でスピーディーに対応するので、誹謗中傷に関するお悩みを大きく減らすことができます。

・WEBでの誹謗中傷にどう対処すればよいか分からず悩んでいる方
・クチコミの削除を弁護士に任せて膨大な労力・時間・ストレスから解放されたい方
・Googleクチコミでの身に覚えのない悪い評価を削除したい方
・いろいろなWEBサイトに誹謗中傷があり全部まとめて消してほしい方
・誹謗中傷した投稿者を特定して損害賠償を請求したい方
・会社のSNSが炎上してしまったが対応に手間取っている方
・日常の法律相談や契約書類のリーガルチェックでトラブルを未然に防止でき、さらにWEBでの誹謗中傷にもスピーディーかつ親身に対処してくれる顧問弁護士がほしい方

森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでも相談できます。
【相談はこちら】

誹謗中傷への対応経験が豊富な弁護士が喜んで対応いたします。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
オンラインWeb会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでも対応できます。
お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問合せください。

The following two tabs change content below.

森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

NEWS & TOPICS 新着情報