修学旅行の引率をした教職員に支払うべき手当

修学旅行の引率を担当した教職員に支払う手当は、出張手当で足りるでしょうか。

 

まず、修学旅行の引率は出張に当たりますが、出張は、「事業場外で業務に従事した場合」(労働基準法38条の2第1項)に当たります。

そのため、「労働時間を算定し難いとき」には、引率した教職員は、所定労働時間だけ労働したものとみなされます。他方、「労働時間を算定し難いとき」に当たらない場合には、学校側は、引率した教職員に対して、時間外労働の分だけ、時間外労働手当を支給すべきことになります。

 

では、どのような場合、「労働時間を算定し難いとき」に当たるのでしょうか。

判例は、「労働時間を算定し難い」といえるためには、使用者が主観的に算定が困難であると認識したり、労使が算定困難であると合意すれば足りるというものではなく、就労実態などの具体的事情から客観的にみて、労働時間を算定し難い場合であることを要するとしています(レイズ事件・東京地判平成22年10月27日、阪急トラベルサポート事件・東京高判平成23年9月14日等)。

 

そのため、修学旅行の場合には、観光・ホテルへのチェックイン・食事といった教職員のスケジュールが予め決まっていたという具体的事情や、修学旅行当日に急遽トラブルが発生して引率した教職員が学校とこまめに連絡を取り合わなければならなかった等の具体的事情を、客観的にみて、その教職員の労働時間が算定し難い場合であるか否かが判断されることになります。

 

それでは、労働時間を算定できた結果、学校側は、時間外労働手当の代わりに、出張手当を支給することは可能でしょうか。

 

事例判決(一般的な法律理論ではなく、具体的事情を前提に示された判断)ではありますが、大阪高判平成12年6月30日は、「出張日当は労働時間という観点よりもむしろ遠方に赴くことを重視しているといえるから,時間外労働に対する割増賃金の性格を持つとするには疑問がある」と示しています。

これを前提とすれば、時間外労働手当と出張手当は、別の性格を有するものですから、学校側が、時間外労働手当の代わりに、出張手当を支給することは妥当でないことになります。

 

このように、当事務所では、教職員に支給する手当や給料についてのご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。


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