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「医師が推薦」の広告表現は薬機法違反?注意点について弁護士が解説

1「医師が推薦」の広告表現はなぜ禁止されている?

(1)商品の安心感をアピールしたい

化粧品や健康食品を販売する事業者にとって、広告の表現方法は悩ましい課題のひとつです。
一般に、消費者が直接口にしたり、肌に塗ることによって人体に影響を及ぼす可能性がある商品について、事業者としては消費者が安心して使えることを広告でアピールしたいものです。
その手段として、まるで医師がお墨付きを与えているかのような「医師が推薦」を広告表現として使いたいとのご相談がよくあります。
では、化粧品や健康食品の広告で、「医師が推薦」を内容とする表現を使用して問題ないのでしょうか?

(2)「医師が推薦」は薬機法違反になるのか?

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」いわゆる薬機法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療機器等製品の5つ(以下「医薬品等」といいます。)について、品質、有効性、安全性の確保のために必要な規制をしております。
薬機法66条は、医薬品等の効能効果・性能について「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれのある記事」による広告を禁じております。
医師や薬剤師など国家資格を取得している者からの推薦や公認は、肩書や権威による影響力が大きく消費者の誤認を招きやすいからです。
同様に、薬局や学会などの組織による推薦も禁じております。
したがって、医薬品等の商品広告おける「医師が推薦」は、薬機法違反になります。

 

2 医師以外にも規制対象となる「推薦者」

(1)「医薬品等適正広告基準」による規制

厚生労働省は、「医薬品等適正広告基準」とそのガイドラインによって、医薬品等の広告に関する解釈指針を示しております。
これによると、医師以外の医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、消費者の認識に相当の影響を与未承認の医薬品える公務所、学校又は学会を含む団体についても、医師と同様に、医薬品等に該当する商品の推薦者になることが規制されております。
したがって、医薬品等の商品広告において「医師が推薦」以外にも「〇〇学会で認められた」「大学との共同研究」「厚生労働省認可」などの表現を使用することも、薬機法違反になります。

(2)「化粧品等の適正広告ガイドライン」による規制

化粧品については、業界団体の自主基準である「化粧品等の適正広告ガイドライン」の規制も受けます。
このガイドラインは、日本化粧品工業連合会が、薬機法と医薬品等適正広告基準の趣旨に基づいて、化粧品の製品特性を考慮した自主的に遵守すべき指針として策定したものです。
このガイドラインでは、医療関係者等の推薦との関係で、白衣姿の人物を化粧品広告に載せることを原則として禁止しております。
薬機法では白衣姿の人物が化粧品の広告に掲載されること自体を禁じていないものの、「医師の推薦」と同様に消費者の誤認を招きやすいため、原則として掲載すべきではないとしたものです。

 

3 商品別!「医師が推薦」表現における注意ポイント

薬機法および医薬品等適正広告基準により、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5つについて、「医師が推薦」を内容とする表現を使用することは、薬機法違反になります。

(1)化粧品

したがって、化粧品の広告において、「医師が推薦」を内容とする表現を使用することはできません。しかも、医薬品等適正広告基準では、医師等の肩書や権威が消費者に与える影響が大きく、医師等による推薦があることを広告することで医薬品の濫用が助長されるおそれがあるため、たとえ医師による推薦の事実が本当にあったとしても自粛すべきであるとして原則NGとなっております。
たとえば、「〇〇医師が愛用」「〇〇病院公認」といった表現を載せることはできません。

(2)健康食品

これに対して、健康食品は食品であり薬機法の「医薬品等」に該当しません。
したがって、薬機法や医薬品等適正広告基準による直接の規制対象ではないので、健康食品の広告において「医師の推薦」を内容とする表現を用いても問題ありません。
ただし、健康食品(一般食品)の広告においては、「医薬品的な効能効果」を標ぼうすることができません。
もし、健康食品(一般食品)を例えば「体質改善で知られる●●を原料とし・・・」などのように「医薬品的な効能効果」を標ぼうして広告すると、その食品が薬機法上の「医薬品」とみなされる結果、承認前の医薬品に当たり、未承認の医薬品の広告の罪が成立して罰せられますので、注意が必要です。

 

4「医師が推薦」以外の注意が必要な表現まとめ

(1)虚偽の「医師が推薦」

ここまで医師の推薦を貰ってもそれを広告に利用できるかについて解説してきましたが、もし医師が推薦している事実などなく虚偽であった場合は、さらに別の大きな問題も生じます。
実際には●●医師が推薦している事実などないのに、あたかも●●医師のおすすめの商品であるかのような広告表現をしてしまうと、不当表示として景品表示法の規制に違反します。

(2)比較広告

広告表現で商品をより良く見せる他の方法としては、競争事業者の商品と比較して自社商品が優良・有利であると消費者に認識させる比較広告があります。
商品の内容や取引条件について、競争事業者のものと大きな違いがないにもかかわらず、著しく優良・有利であると消費者を誤認させる場合は、不当表示として景品表示法によりNGとなります。
消費者庁は、適正な比較広告の3要件として、①比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること、②実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること、③比較の方法が公正であることを要求していますので、注意が必要です。

(3)景表法違反はリスク大

景品表示法に違反すると、消費者庁による広告停止の措置命令、課徴金の納付命令を受けるなど、事業の継続にとって多大なリスクを負うことになってしまいます。課徴金は過去3年間の売上げの3%分の課徴金を払わないといけなくなり、金額もかなり高額にのぼることも多いです。また、措置命令を受けた場合は、消費者離れが加速し、売上に致命的な損失を与えることもありえます。

 

5 まずは弁護士にご相談ください

(1)弁護士に相談するメリット

以上のとおり、医薬品等である化粧品の広告で「医師が推薦」という表現を利用することは薬機法違反になります。
薬機法に違反した場合、厚生労働大臣による承認や許可の取消し、業務停止命令、業務改善命令、違反行為の中止命令、課徴金の納付命令などの行政処分や、刑事罰の対象になります。
また、医師の推薦そのものが虚偽だった場合や、消費者庁の3要件に合致しない比較広告は、景品表示法違反となります。
景品表示法に違反すると、消費者庁による措置命令や課徴金納付命令などの行政処分や、刑事罰の対象になります。
このような薬機法違反や景品表示法違反によるペナルティは事業継続のために回避しなければなりません。
しかし、表現の規制範囲が専門的で難しい部分もあるため、事業主がひとりで対応するのは困難です。
広告表現に不安があったり、トラブルになってしまった場合は、法律の専門家である弁護士に相談することをオススメします。
弁護士であれば、関連する法規に幅広く目配りして、事前のリスク予防からトラブル発生時における適切な対応まで幅広くオールマイティに問題を解決することができます。
たとえば化粧品や健康食品等の広告についても、あらかじめ弁護士によるリーガルチェックを受けることで薬機法や景品表示法に違反することを回避できます。

(2)森大輔法律事務所にできること

森大輔法律事務所は、薬機法や景品表示法など広告表示に関する法的問題のサポートに力を入れて取り組んでいます。

①広告のリーガルチェック

制作記事・広告・LPに法的な問題がないか、複数の弁護士でダブルチェックします。
表示事項、セリフ・ナレーションなどを丁寧に確認し、必要に応じて消費者の誤解を招かないよう注釈の追加や魅力的な言い換えのご提案もしております。

②社内研修セミナーを開催

従業員のみなさまが薬機法や景表法のポイントを掴めるように、弁護士がわかりやすく伝える社内研修セミナーを開催しております。
あわせて法令やガイドラインに沿った社内マニュアルの作成もサポートしております。

③行政官庁やマスコミへの対応

消費者庁による調査などトラブルが発生した場合には、スピーディに弁護士が対応をサポートします。

④意見書の作成

広告やパッケージが薬機法や景品表示法に抵触していないか等について、弁護士が意見書を作成いたします。

(3)24時間いつでも問い合わせOK!

森大輔法律事務所は、薬機法や景品表示法にかかわるご相談やご依頼を10年間で数多くお受けし、親身になってインパクトある適正な広告づくりのサポートに力を入れております。
・制作した広告に法的問題がないか不安で悩んでいる方
・LPに法的問題がないか弁護士にチェックしてほしい方
・法務・労務トラブルの相談に加え、広告チェックにも親身に対応できる顧問弁護士がほしい方

森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでも相談できます。
【相談はこちら】

薬機法や景品表示法に詳しい弁護士が喜んで対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
オンラインWeb会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでも対応できます。
お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。

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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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