Contents
ペットフードは、基本的に「医薬品等」には当てはまりません。健康食品や雑貨の場合と同じように、直接薬機法の規制は受けません。ただし、以下のような場合、「医薬品等」とみなされ未承認の医薬品を販売しているとして、薬機法違反となります。
・「医薬品等」の効能効能を標ぼうする
・ペットフードに医薬品成分を配合する
薬機法とペットフードは、一見関連性がないように見えます。
しかし、ペットフードの配合成分や商品説明によっては、「医薬品」、「医薬部外品」に該当するとして、薬機法の規制対象となることには注意が必要です。
薬機法は、基本的に薬理効果を及ぼすような広告について規制しています。
これは、特に原材料などに係わらず、その広告自体から薬理効果を及ぼすことを表示している広告については、薬機法の規制が及んでしまうということです。
まず、疾病の治療又は予防を目的とする効能効果を標ぼうすることはできません。
例えば、
・「○○病の治療に。」
・「呼吸器の機能を高め、慢性的な咳や喘息、呼吸が困難な場合の症状を和らげられる栄養補助食品。」
・「○○病の予防。」
・「成分○○は、ガンの予防を助けます。」
また、身体の組織機能の一般的な増強、増進を主たる目的とする効能効果を標ぼうすることはできません。
例えば、
・「○○の成分は、関節を保護、強化するために最も効果を発揮します。」
・「ストレスを減らし、免疫性と、有用なホルモンの増加をもたらします。」
・「餌に振り掛けるか、そのまま食べさせるだけで体臭、口臭を防止します。」
・「健康が増進される。」
上記の表現内容に関しては、悪い状態からの改善・増進を暗示することが問題視されることが多いです。反対に、「健康に保ちます。」、という記載であれば、問題はないとされます。
最後に、ペットフードであっても、医薬品摘な効能効果を有するかのような表示は医薬品と判断されるため、医薬品的な効能効果の暗示に関する表示ができません。
・「東洋医学で認められた健康生薬が配合されています。」
栄養成分については、特定部位への栄養補給を標ぼうすることが必ずしも当該部位の改善、増強等を暗示せず、健康維持の範囲と解釈される場合があることに鑑み、特定部位の改善、増強等を標ぼうしない場合には、特定部位への栄養補給を標ぼうすることについて直ちに医薬品的な効能効果とは判断されません
例えば、以下の範囲であれば、医薬品的な効能効果と判断されません。
・骨を構成する成分であるカルシウムを強化。
・抗酸化作用がある○○(成分名)を天然の酸化防止剤として使用してい ます。
・○○(成分名)が関節軟骨の前駆物質を供給
これらの表現については、それらを増強することを標ぼうした場合には医薬品的な効能効果と判断されます。
ただし、全体的な健康維持の範囲内で本来備わっている「免疫 「抵抗力」又は「体力」を維持する範囲の表現については、直ちに医薬品的な効能効果とは判断されません。
例えば、以下の範囲であれば、医薬品的な効能効果と判断されません。
・ 健康を維持することにより動物が本来持っている免疫力を保ちます。
・ 優れた栄養バランスにより抵抗力を保ちます。
・ バランスのとれた栄養成分により体力を維持。
アレルゲンとなる物質を含まないことにより、アレルギーを持った動物に対して与えることができるという場合に、含まない物質等を明記した上で 「アレルギーに配慮」、「アレルギーに悩む動物のために」のような表現を行うことは、直ちに医薬品的な表現とは判断しない。
例えば、
・ 牛肉アレルギーに悩む愛犬に配慮して、○○(商品名)は、牛肉を使用しておりません。
・ 食物アレルギーの原因となりにくい○○、○○等を原材料として使用しているので食物アレルギーによる皮膚疾患を持つ動物にも安心して与えられます。
ペットフードの販売に関わる法律「薬機法」についてお伝えしました。
ペットフードは通常医薬品とはいえないものの、広告の表現内容によっては薬機法違反となるということがおわかりいただけたかと思います。
ポイントは薬理効果を生じさせるような内容となっていないか、逆に健康維持の範囲内の表現内容か否かといった点に注意しながら、広告内容を決定していく必要があります。薬機法違反となると、刑事罰も用意されていますので、判断が難しい場合は、弁護士等の専門家に判断を求めることをオススメします。