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美容業界において、特に美容機器はコロナ禍に爆発的に売り上げを伸ばしました。その理由は、コロナにより在宅ワーク等の外出自粛が増え、メイクへの投資が減った一方、自分と向き合う時間が増えたことで、スキンケアや美容機器への意識(「おうち美容」)が高まったからであると言われています。
一方で、美容機器を販売する事業者は、外出自粛をしている顧客をターゲットとしてインターネット販売を積極的に行うようになり、インターネットによる誇大広告や医療機器と誤認させる広告といった問題が多く浮上しました。 特に、事業者において美容機器と医療機器の明確なすみわけが曖昧であるため、現在も違法(又はグレー)な広告が多くあるように思います。
美容機器とは、一般的に身体(肌を含む)の構造・機能に影響を与えないもので、単に美容(洗顔や化粧品を塗る動作の代用程度)を目的とするものを指します。
重要なのは、薬機法上の「医療機器」との違いです。
医療機器は、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるもの」と定義されており、両者の大きな違いは、疾病の治療等に使用されることを目的とするか否か、又は、身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことを目的とするか否かです。他方、美容機器は、これらの目的がないものですので、あくまで「肌を整える」「汚れを落とす」といった、化粧品と同様の極めて限定的な効能範囲しか認められません。
・美顔器: EMS、超音波、スチーマー、ローラー
・脱毛器: 家庭用光美容器(IPL等)
・ボディケア: キャビテーション、吸引機器
特にダイエット系の美容機器や肌に対し効果効能を期待させる美容機器については、商品の訴求力を高めるため、いわゆる「68条(承認前医薬品等の広告禁止)」や「66条(誇大広告の禁止)」に抵触しやすい広告が多く散見されます。
例えば、「身体の機能そのものを変える」ような表現は、即座に医療機器とみなされ、未承認医療機器の広告として是正対象となりますので注意しましょう。
前述したとおり、美容機器の効果が医学的効果や体への物理的な変化をもたらす効果を標榜することはアウトとなります。例えば、以下のような広告表示は行わないようにしましょう。
・アンチエイジング・若返り関連
「細胞を活性化させる」
「若返り効果(リバースエイジング)」
「コラーゲンの生成を促す」
・浸透・吸収関連
「真皮層まで届く」(※化粧品同様、角質層までが限界です)
「肌の奥深く(基底層など)に直接作用」
・治療・予防を想起させる言葉
「ニキビが治る」「シミが消える」
「アトピーを改善する」「炎症を抑える」
特に、以下のような物理的変化を表示させる広告が散見されるので注意が必要です。このような広告表示をする場合、医療機器ではないとアウトとなります。
・形状の変化
「小顔にする」「フェイスラインを引き締める(物理的な定着を意味する場合)」
「二重あごを解消」「リフトアップ効果(※化粧品等の被膜効果による一時的な演出を除く)」
・脂肪・代謝への言及
「脂肪を燃焼させる」「セルライトを除去」
「新陳代謝を高める」「デトックス効果」
また、薬機法の「医薬関係者等の推せん(広告等基準)」により、たとえ事実であっても医師が推奨している旨を広告に載せることは厳格に制限されています。例えば、以下のような広告は美容機器では行わないようにしましょう。
「医師が認めた効果」
「美容皮膚科医も愛用」
「大学教授との共同開発(※開発事実は書けても、効果の保証と取られる文脈はNG)」
上記⑵のような表現は、医療的な表現になってしまっているため、薬機法上アウトとなりますが、以下のように美容的表現にとどまっていれば問題ありません。
カテゴリ NG表現の例(医療機器・医薬品的表現) OK表現の例(美容的表現)
アンチエイジング 「若返る」「シミが消える」「リフトアップ」 「ハリを与える」「肌を引き締める(※物理的効果)」
浸透・吸収 「美容成分を真皮まで届ける」「細胞を活性化」 「角質層まで浸透」「肌を整える」
脱毛器 「永久脱毛」「毛根を破壊」「発毛を抑える」 「ムダ毛をケアする」「滑らかな肌へ」
小顔・痩身 「脂肪を燃焼」「小顔にする」「骨格矯正」 「物理的刺激でスッキリ」「肌を引き締める」
広告の差し止め、再発防止策の公表を行う必要があります。
実際、商品の回収や全国紙で公表といった多額のコストがかかることから、措置命令だけでも事業者に与えるダメージは相当となります。
対象商品の売上高×4.5%という多額の納付義務が課されます。履歴ではなく、売上に対する4.5%が発生するため、金額として多額の課徴金となります。景表法は3%であるのに対し、薬機法はそれ以上の課徴金が課されますので大変注意が必要です。
2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金(または併科)。薬機法の適用は事業者のみならず、「何人も」になりますので、インフルエンサーなど個人で広告を行っている方も刑事罰の対象となります。
行政処分を受けた事実が公表されることによるブランド毀損は計り知れません。薬機法違反になる前に手を打つことが極めて重要となります。
以上のとおり、美容機器の広告表現に関する気を付けるポイントや違反した場合のリスクなどについてご説明いたしました。
お分かりのとおり、薬機法上、問題がないかといった判断は極めて専門的な判断を要しますし、その後のリスクを踏まえると、必ずと言っていいほど、弁護士等の専門家に相談した上で広告表現を決めていくべきだと思います。
弊所では、薬機法に関する事例を多く扱っており、代替表現や薬機法違反における対応など幅広いノウハウを蓄積しております。そのため、弊所では、事業を行う上で広告表現に悩まれている方のニーズを素早く汲み取り、迅速なサポートにより事業者の悩みの一つを消すことができます。
「悩んでいる時間がもったいない!」とお考えの方、そのとおりです。専門的なところは専門家である弁護士にお任せすべきかと思います。そのため、広告表現等の薬機法上の問題については、迷うことなくお気軽に弊所にご相談いただければと思います。
