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非がない場合のクレーム対応についての具体的な流れや例文を弁護士が解説!

1. 非がない場合のクレームとは

(1) クレームとは

「クレーム」とは、提供されたサービスや商品に対するお客様からの苦情、不満、または改善要求のことです。
英語のclaimは「正当な権利の主張」を意味しますが、日本のビジネスシーンでは一般的に「商品の欠陥やサービスの不備に対する抗議」という意味で使われます。
大きく分けると、お客様からのクレームには、①「意味があるクレーム」と、②「非がない場合のクレーム」の2種類があります。
このうち、①「意味があるクレーム」とは、こちら(事業者)側に落ち度がある場合の苦情です。
たとえば、ECサイト販売商品でサイズ違いの誤配送、食品への異物混入、広告価格とレジでの請求額の相違などです。
①「意味があるクレーム」は、起きた事実や主張の根拠が明確で、お客様も感情的にならずに具体的な改善・対応を求めてくるのが特徴です。
この場合は原因と改善策を明確に伝え、具体的な対応(交換・返金、再対応など)を提示します。
このような①「意味があるクレーム」は、今後よりよいサービスを提供するために役立つものなので、事業者にとっては財産となります。

(2) 「非がない場合のクレーム」とは

これに対して、②「非がない場合のクレーム」とは、こちら(事業者)側に過失や不手際、契約違反などの落ち度が一切ないにもかかわらず、クレーム客の個人的な感情・誤解・思い込み、不当な期待などに基づいてなされる苦情で、謝罪や返金など何らかの対応を要求してくるものです。

 

2. クレーム対応で重要なこと

②「非がない場合のクレーム」に対しては、①「意味のあるクレーム」とは違った対応が必要です。
こちら(事業者)側に非がないにもかかわらずクレームを言ってくるような人に納得してもらうことは困難なので、その大変さからクレーム対応を任された従業員が心身に不調をきたしたり退職してしまうリスクもあります。
そのため、②「非がない場合のクレーム」対応における獲得目標(ゴール)としては、クレーム客の納得を得ることではなく、「クレーム客からの連絡がなくなること」と設定することが重要です。
クレーム客からの連絡がなくなるためには、必ずしも納得を得る必要はなく、クレーム客が「これ以上クレームをつけても無駄だ。」と理解しあきらめれば、連絡は途絶えます。
したがって、組織として事前に「クレーム対応マニュアル」を決めたうえで、従業員は、マニュアルに沿って、クレーム客の不快な感情は受け止めつつも、事実と根拠を冷静に説明するにとどめ、過度な要求に応じないことが重要です。
なお、要求が通らないことに腹を立てたクレーム客がエスカレートして、迷惑行為(暴言・脅迫、長時間の拘束、過度な謝罪強要、不当な金銭要求など)によって業務や就労環境を害する「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に発展することもあります。その場合は、「カスハラ対策」に切り替えた対応が必要です。
「カスハラ対策」については、「【弁護士解説】カスハラ対策におけるポイントとは?」でわかりやすく解説しておりますので、どうぞご参照ください。
https://moridaisukelawoffices.com/category/2966 

以下では、こちら(事業者)側に非がないことを前提として説明します。
なお、いずれのクレームであっても、必ず「お名前」や「連絡先」を確認することを忘れないようにしましょう。聞き忘れてしまうと、書面での警告を発したり弁護士に依頼したいと思っても直ぐに対応することが難しくなってしまうので、注意が必要です。

3. クレーム対応の具体的な流れ

クレームには、①クレーム客が認識した事実、②不快な感情、③要求の3要素が含まれています。
したがって、クレーム客が、いま、この3要素のどれについて話をしているかを意識して、流れの中で対応を変えていくことが大切です。

(1)感情を傾聴する

クレーム客の「どれだけ自分が嫌な思いをしたか」という不快な感情の主張に対しては、不快な感情に「そうだったんですね」「ご不快な思いをされたのですね」などと寄り添いながら反論せずにひととおり最後まで聴きます。

(2)事実を確認する

つぎに、「いつ、どこで、誰と誰との間で、何が、なぜ、どのように」起きたのかという事実関係(5W1H)を、クレーム客の話を整理しながら聞き取って記録します。
後から話が食い違って更なるトラブルになることを防ぐため、記録した内容を復唱して認識を合わせます。この過程で、クレーム客の勘違いや思い込みが自然と明らかになることも多くあります。

(3)説明する

事実を確認し整理できたら、こちら(事業者)側に非がない根拠を具体的に説明します。
契約書、規約、記録、案内表示など客観的な根拠を示しながら「今回の件については、こういう理由で○○という対応となっております。」と冷静かつ明確に伝えます。感情論ではなく事実と根拠で説明することが重要です。

(4)要求を断る

こちら(事業者)側に非がない以上、基本的に譲歩は不要です。
クレーム客から謝罪や返金などの具体的な要求があった場合は、「そのような要求には応じられません。」とハッキリ要求に応じられないことを伝えます。
クレーム客が具体的な要求をせず、抽象的に「誠意を見せろ」などと言ってきた場合も、「会社としての対応は考えていません。」と断ります。
後日、再び要求がきた場合も、「会社としてご要望にお応えすることができないことは先日お伝えした通りです。」と、同じように断り続けます。
このように要求を断り続けることによって、クレーム客に「いくら要求を繰り返しても要求が通る見込みがなく無駄だ。」と理解させます。その結果、クレーム客からの連絡が途絶えます。

(5)「カスハラ対応」に切り替える

もし要求が通らないことに腹を立てたクレーム客の要求がエスカレートして、迷惑行為(暴言・脅迫、長時間の拘束、過度な謝罪強要、不当な金銭要求など)に発展した場合は、クレーム対応から「カスハラ対応」に切り替え、上席や専門部署が引き継いで組織として毅然として対応します。
事実経緯を詳細に記録に残したうえで、更に迷惑行為が続くようであれば、速やかに弁護士に対応を委ねていただければと思います。

 

4. クレーム対応の手段

(1) 対面

まずは、対面での対応についてです。
対面での対応の場合、その場ですぐ返答することになるため、難易度が高いと感じるかも知れませんが、直ちに「正式な回答」をその場でしなくても大丈夫です。たとえクレーム客がその場での回答を求めても、すぐに判断するのが難しい事項については、無理に回答しないで、一度持ち帰り、後日、書面で回答すればOKです。
対面でのクレーム対応の様子は、話の食い違いなど後日のトラブルに備えて、録音や録画によって客観的な記録に残した方が良いでしょう。

(2) 電話

こちら(事業者)自社が落ち度がない場面でのクレームは、電話から始まることが最も多いです。
電話での対応の場合、クレーム客の情報を認識できません。
そのため、まずは誰からの電話であるかを確実に把握することが大切です。
素性を明かさないクレーム客に対しては「お電話を頂いた方のお名前などを教えていただかなければご対応は致しかねます。」と伝え電話を打ち切ってかまいません。
電話の場合も対面の場合と同様、クレーム客がその場での回答を求めても、すぐに判断するのが難しい事項については即答せず、後日、書面で回答した方が良いです。
電話での対応についても、録音機能をONにしたり、スピーカー通話に設定してボイスレコーダーを横に置いて録音したりすることで客観的な記録を残しておくと、後日のための証拠保全になります。

(3) メール

ECサイトでのクレームなどは、メールで寄せられることもあります。
メールの場合、対面や電話と異なり不明なことがあっても直ちに確認することができませんが、不明なことをこちら(事業者)側で勝手に推測せず、文言どおりに受け取って、対応を検討した方が良いと思います。

(4) 手紙(書面)

クレームの多くは対面、電話、メールでやって来ますが、こちら(事業者)側にとって「クレーム客からの連絡がなくなること」という獲得目標のために最も効果的な対応手段は、手紙(書面)です。
なぜなら、事業者からの手紙(書面)は強い姿勢を印象付けることができるうえ、手紙(書面)に対しては対面・電話・メールのようにその場ですぐ反論することができないからです。
こちら(事業者)側からの手紙(書面)のポイントは、「反論ができない内容だけを書く。」ということです。そうすれば、クレーム客からの連絡が途絶えます。

例文;
「拝啓 ◯月◯日付の貴殿からのご連絡につきまして、慎重に事実関係を調査しました。
調査の結果、本件における弊社の対応は、弊社の利用規約に基づいた適正なものであることを確認しました。弊社側に落ち度や契約不履行に該当する事実は認められませんでした。
従いまして、貴殿からの返金のご要望につきましては、承諾いたしかねます。
本件に関する弊社の見解は本書面のとおりであり、これ以上の対応は致しかねますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。敬具」
なお、手紙(書面)を普通郵便で送付すると、こちら(事業者)側が書面を送付したことやその書面が相手方に到達したことの立証手段がありません。念のため、「特定記録郵便」や「内容証明郵便」といった記録の残る郵送手段を用いると安心です。

5. 非がない場合のクレームでよくあるケースと対応方法

(1) 購入した商品の使用中にケガしたとして代金の返還や慰謝料などを求めてくるケース

この場合は、本来であれば商品の使用方法が常識的な使い方の範囲(仮に使い方に誤りがあったとしても、そのように使用するのも仕方がないようなケース)であれば、場合によっては賠償責任の可能性もあるかもしれません。そのため、どのような使い方をされたのか、どのようなケガをされたのかしっかりと確認をする必要があります。
お金目当てで本当はケガもしていないというケースもあるかもしれませんので、可能であれば診断書ももらっておくべきかと思います。診断書も提出しないようであれば、こちらとしても対応の仕様がないという対応で良いかと思われます。
また、診断書が出てきたときには、そのケガが当該商品の使用中に生じたものかどうかを検討する必要があります。例えば、レトルト食品の封を開けようとした際に指を切ったということであれば商品との関連性が認められるかと思いますが、足を痛めて歩行が困難となったというようなものについては商品との関連性が全くないだろうと思います。このような、商品との関連性がどこまであるのかを検討する必要があるだろうと思います。
その上で、今回のケガについては、上記の調査結果を踏まえたところ賠償義務や代金の返還義務はありませんと毅然とした態度で臨むことが重要かと思われます。
上記のように、本当にケガをしたのか、それが当該商品と関連性があるかどうかの調査が必要となりますが、この点については是非弁護士にご相談頂ければと思います。

(2) 対応した従業員の態度が気に入らないとして頻繁に電話で謝罪を求めてくるケース

この場合は、従業員の態度についてどこに問題があったのか聞き取りをしましょう。通常であれば、「こちらの方で事実確認の上、注意するようにしたいと思います。」という回答で終了するケースが多いかと思います。
しかしながら、中にはこれだけで収まらず、当該従業員本人に代わるよう要求し謝罪を求めてくる場合もあります。このような場合に当該従業員に代わって対応をさせるということは控えるべきかと思います。この場合も、「趣旨は承りました。本人にも注意を促しておきます。」という対応で十分です。
それでも執拗に電話がかかってくる場合は、書面にて「警告書」を出すべきと思います。内容は強要罪や業務妨害にあたる旨を指摘し、これ以上継続するようであれば警察に相談する旨の記載までして警告することも検討されるべきかと思います。
なお、クレームの対象となっている従業員に直接対応をさせることは避けるようにしましょう。会社は従業員を守らなければなりません。仮に、当該従業員に対応を丸投げしてしまうと、メンタルに不調をきたすおそれがありますし、場合によってはパワハラ認定される可能性も出てくるので注意が必要です。
また、上記のクレームは強要罪(刑法223条)等にあたる可能性がありますので、証拠保全という意味でもなるべく電話のやり取りは録音をとっておいた方が良いと思います。

(3) 過度なサービスを要求し、拒否すると怒鳴り始めて代金の支払いを拒否するケース

この場合は、最初から代金支払いを不当に免れる目的の可能性が十分にあります。「お代は結構ですから。」というと、急に態度が穏やかになって帰っていくというケースも報告されているようです。周囲のお客様の目も気になって、ついついこのような対応をしがちになるかもしれません。ただ、このような安易な解決をしてしまうとまた同様のケースが繰り返される可能性がありますし、それを見ている従業員のやる気にも悪影響を与えてしまう可能性があります。
このような場合は、まずはクレーム客に、毅然とした態度で退店を求めましょう。もし、そのような対応が難しいということであれば、可能であれば別室に移動してもらい、その場で警察を呼ぶということも一つの方法です。大きな声で怒鳴り散らしている時点で威力業務妨害に該当する可能性がありますので警察も対応してくれるケースかと思います。
このように、謂れのないクレームに対しては毅然とした対応をすることが重要です。

6. クレーム対応でお困りの経営者様は弁護士に相談を

(1) 弁護士に相談するメリット

クレーム対応で弁護士に相談するメリットは、弁護士がクレームが法的に根拠のある主張か否かを専門家の視点で判断し、こちら(経営者)側に非がない場合は「代理人」として毅然とした対応をし、エスカレートしてカスハラに発展した場合も弁護士が「窓口」となって速やかに解決に奔走することによって、経営者や従業員の精神的・時間的な負担を軽減できることです。

(2)森大輔法律事務所に相談するメリット

森大輔法律事務所は、2015年に企業法務メインの法律事務所としてスタート以来、業種も規模も多様な100社以上にわたる顧問先のリーガル・コンサルティングとして、数多くの企業事例を取り扱ってきました。法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をも提供できる事務所を目指しております。
クレームに関するトラブルの解決にも対応しています。

①森大輔法律事務所にできること

 ・悪質クレームやカスハラに「代理人」として「窓口」になって対応
 ・クレーム客への手紙(書面)や「警告書」の作成
 ・「クレーム対応マニュアル」の作成・改訂サポート
 ・クレームやカスハラを受けたときの初動アドバイス・弁護士による社内セミナー

②森大輔法律事務所の特徴

1)レスポンスが速い
複数名による弁護士チームで、チームワーク良くスピーディーに対応します。複数名でメール等を確認しておりますので、当日か遅くとも翌日には何らかの対応をしております(休日の場合は少し返信の遅れるケースがありますが、緊急性が高いものについては早急に対応しております)。ビジネスの好機を逃しません。
2)ビジネスと伴走
現在、110社以上(2026年3月時点)の顧問業務に対応しております。そのため、日ごろから多くの法律相談を受けており、企業内の多様な相談に対応してきた実績があります。法的な知識はもちろんのこと、どのようにすればトラブルを解決し乗り越えていけるのかといった知恵をも提供しながら一緒にトラブルを解決し、さらには経営全体を見据えたコンプライアンス体制の構築をサポートします。
3)親身な相談体制
顧問契約を締結した場合、対面や電話での相談に加え、メールやチャットワークでも相談できます。チャットワークでは夜間や休日でも可能な限り対応しております。 孤独になりがちな経営者のビジネスパートナーとして、法務・労務・リスク管理を親身に支えます。

③まとめ

クレーム対応は、経営者や従業員にとって心理的・時間的に大きな負担となります。
「悪質なクレームにどのように対応したらよいか?」と不安を感じたときは、まずは弁護士に相談という第一歩を踏み出してください。
森大輔法律事務所は、企業法務に詳しいリーガルコンサルタントとして、クレーム対応にとどまらず、企業価値が最大化するよう親身にサポートいたします。

 ・悪質クレーム、カスハラに悩んでいて弁護士に「窓口」として対応を代わってほしい方
 ・弁護士にクレーム客への手紙(書面)や「警告書」を作成してほしい方
 ・弁護士による「クレームやカスハラを受けたときの初動アドバイス(社内セミナー)」を開催したい方
 ・弁護士のサポートを受けながら「クレーム対応マニュアル」を作成・改訂したい方
 ・レスポンスの速いビジネスと伴走する親身な顧問弁護士が必要な方
 ・社内マニュアル、契約書、広告などのリーガルチェックを気軽に頼める顧問弁護士がほしい方

森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでもご相談できます。
【24時間受付:ご相談・お問合せはこちら

企業法務に精通した弁護士が喜んでスピーディーに対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
Web会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでもオンラインで初回相談できます。
もちろんオフラインでの対面での初回相談も、大歓迎です。
森大輔法律事務所は、東京・東銀座(歌舞伎座の正面)にあります。
東京メトロ銀座線・東銀座駅と直結しておりますので、アクセスが大変便利です。
お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。

 

 

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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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