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契約書作成を弁護士に依頼するメリットとは?雛形(テンプレート)利用のリスクについても弁護士が解説

ネット上の雛形は、契約書の叩き台としては役に立ちます。
ただ、自社の取引の実態や最近の法改正に合わせて調整しないまま使うと、いざというときに自社を守れない契約書になるおそれがあります。
重要な契約は弁護士に確認を依頼し、日常的に相談できる体制をつくっておくことが、現実的な備えです。

Contents

この記事で分かること

・契約書が果たす役割と、雛形をそのまま使うときの具体的なリスク
・弁護士に契約書の作成・確認を依頼するメリットと、他の士業との違い
・特に弁護士へ依頼した方がよい契約書と、単発の依頼と顧問契約の違い

※本記事は、2026年10月30日時点の法令に基づいています。

 

1契約書の重要性

(1)契約は口頭でも成立するが、契約書が「証拠」と「ルール」になる

契約書は、合意した内容を証明し、トラブルが起きたときの判断基準になります。
民法は、法令に特別の定めがある場合を除き、契約の成立に書面の作成その他の方式は要らないと定めています。したがって、電話やメールのやり取りでも、契約は成立します。
ただし、口頭の合意は後から内容を証明しにくく、「言った・言わない」の争いになりがちです。契約書があれば、何を、いつまでに、いくらで、どのような条件で約束したのかを示す証拠になります。また、代金の不払いや納期の遅れが起きたときにどう対応するかを定めた、当事者間のルールブックの役割も果たします。
したがって、継続的な取引や金額の大きい取引では、契約を口頭やメールだけで済ませず、契約書の形で合意内容を残しておく方が良いといえます。

(2)契約書があいまいなときに起きやすいトラブル

トラブルの多くは、契約書が「ない」ことよりも、「肝心な点が書かれていない」ことから生じます。
よくある相談例として、次のようなものがあります(説明のために一般化した想定例です)。
①業務委託で検収の基準や期限が書かれておらず、発注者が検収を終えないため、代金を請求できない
②制作物の著作権が誰に帰属するか書かれておらず、納品後に発注者が自由に改変・転用してよいかで意見が分かれる
③中途解約の条件がなく、それまでの作業分の費用をどう精算するかで揉める
いずれも、契約書に一文あれば争いを避けられた可能性があるものです。自社の契約書において、検収、権利の帰属、解約の3点が書かれているかを、まず確認して頂きたいと思います。

(3)法律で条件の明示が求められる取引もある

契約内容を書面などで示すことが、法律上の義務になっている場合があります。
①従業員を雇うとき
労働基準法は、使用者に対し、労働契約の締結に際して、賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう求めています。賃金や労働時間など一部の事項は、厚生労働省令で定める方法で明示しなければなりません。
②フリーランスに業務を委託するとき
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス法」)は、給付の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電磁的方法で直ちに明示するよう求めています。
③一定の要件にあたる事業者間で、製造委託などをするとき
製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(以下「取適法」)が、同様の明示義務を定めています。
自社の取引に、こうした義務がかかるものがないかを一度点検されると良いかと思います。

 

2ネット上の「雛形(テンプレート)」をそのまま使うリスクとは

(1)誰の立場で、どの取引を想定して作られたかが分からない

雛形は、中立に作られているとは限りません。
契約書の雛形の多くは、発注者・受注者のどちらかの立場や、特定の業種の取引を前提に作られています。
たとえば、発注者に有利な雛形を受注者が使えば、損害賠償に上限がない、解除の条件が一方的、といった自社に不利な条項を、自ら相手に差し出すことになりかねません。
したがって、雛形を使う前に、それがどちらの立場で作られたものかを確かめ、自社の立場から各条項を読み直すことが重要です。

(2)自社の取引の実態と合わない

契約書で大切なのは、自社の取引の流れが条項に正しく反映されていることです。
業務の範囲、納品と検収の方法、支払のタイミング、再委託の可否、成果物の知的財産権の扱いは、業種や取引ごとに異なります。雛形の文言と実際の取引がずれていると、トラブルのときに「実態と違う」と争われ、契約書を自社を守る根拠として使いにくくなります。
したがって、雛形を使う場合も、空欄を埋めるだけで終わらせず、実際の取引の流れと一つずつ照らし合わせることが重要です。

(3)法改正に追いついていない雛形がある

ネット上の雛形には、作成・更新された時期が分からないものが少なくありません。
最近の例では、2026年1月に下請代金支払遅延等防止法が改正され、取適法に改められました。手形払等の禁止や、協議に応じない一方的な代金決定の禁止などが加わり、「親事業者」「下請事業者」という用語も「委託事業者」「中小受託事業者」に改められています。また、2024年11月には、フリーランス法が施行されました。
さらにさかのぼると、2020年4月に施行された民法改正で、売買の目的物に問題があった場合の売主の責任は、「契約の内容に適合しない」ものとして整理されました(民法第562条など)。にもかかかわらず、改正前の「瑕疵担保責任」という用語のまま流通している雛形もあります。
このように古い法律名や用語が残っている雛形は、内容が見直されていないサインのひとつといえます。

(4)法律の規制に反する条項は、そのとおりには通用しないことがある

契約書に書いたからといって、どのような条件でも通用するわけではありません。
たとえば取適法第3条第1項は、代金の支払期日を、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、かつ、できる限り短い期間内で定めなければならないとしています。フリーランス法第4条第1項にも、報酬の支払期日について同様の60日の定めがあります。雛形の支払条件をそのまま使うと、こうした規制に反し、行政による指導等の対象となるおそれがあります。
取適法の対象になるかどうかは、資本金や従業員数、取引の内容によって決まります。詳しくは、公正取引委員会のウェブサイトにある取適法のページで確認できます。ご不明点につきましては、弁護士にお問い合わせください。

(5)雛形が役に立つ場面もある

もっとも、雛形そのものが不要というわけではありません。
契約書に通常どのような項目が入るのかを知るチェックリストとして、また、社内で取引条件を整理するための叩き台として、雛形は有用です。大切なのは、雛形を「完成品」ではなく「出発点」として扱うことであると思います。

 

3契約書作成を弁護士に依頼・相談するメリットとは

(1)取引の実態を聞き取り、条項に落とし込める

弁護士は、取引の流れ、相手方との関係、これまでに困ったことなどを聞き取ったうえで、条項を組み立てます。
雛形の空欄を埋める作業とは異なって「この取引で起こり得る問題は何か」から考えるため、自社の実態に合った契約書になります。

(2)紛争になったときの見通しから逆算して、条項を設計できる

弁護士は、契約をめぐる交渉や訴訟に携わる立場から、「この書き方だと、争いになったときにどう読まれるか」を意識して条項を設計します。たとえば、損害賠償の範囲、解除の条件、紛争になったときの管轄裁判所など、普段は目立たない条項ほど万一の時に影響するため、慎重に設計します。

(3)相手方の案のリスクを指摘し、修正案と交渉の方針まで示せる

取引先から契約書案が送られてくる場面は少なくありません。
その際、弁護士に確認を依頼すれば、自社に不利な条項を指摘するだけでなく、具体的な修正案の文言や、「どこは譲れて、どこは譲れないか」という交渉の優先順位まで相談できます。必要に応じて、弁護士に代理人として交渉を担ってもらうこともできます。

(4)単発の依頼と、顧問契約での継続的な確認の違い

契約書の依頼には、必要なときにその都度依頼する方法と、顧問契約を結んで継続的に相談する方法があります。
単発の依頼には、必要なときだけ費用をかければよいという利点があります。
一方、顧問契約では、次のような場面で違いが出ます。

①取引条件が変わったとき

取引量が増えた、業務の範囲が広がったなど、契約を結んだ後の変化に合わせて、契約書を見直すタイミングを弁護士と一緒に判断できます。

②相手方から案が届いたとき

「近日中に押印を求められている」といった場面においても、自社の事業を理解している弁護士に速やかに相談して対応しやすくなります。

③法改正があったとき

取適法やフリーランス法のような改正があった際、自社のどの契約書に影響するかを、取引の内容を知っている弁護士と一緒に確認できます。
単発の依頼では、毎回、取引の背景から説明し直す必要があります。これに対して顧問契約では、弁護士が背景や経緯を共有している状態で相談を始められる点が、大きな違いです。

 

4特に弁護士へ依頼した方が良い契約書やケースとは

(1)取引額が大きい契約や、長く続く取引の基本契約

取引基本契約や継続的な業務委託契約は、個々の発注に共通して適用されます。そのため、一つの条項の不備が、多くの取引に影響します。
取引額が大きい場合も、損害賠償や支払条件の違いが経営に与える影響は大きくなります。
こうした契約は、締結前に弁護士の確認を受けておくことをおすすめします。

(2)知的財産・ブランド・データを扱う契約

システム開発、デザインやコンテンツの制作、ライセンス、商標の使用許諾、秘密保持契約などでは、成果物や情報の権利が誰に帰属し、どこまで使えるかが中心的な論点になります。権利の帰属や利用範囲の定め方を誤ると、自社の商品やサービスに成果物を使えないといった事態にもなりかねません。したがって、契約締結前に弁護士の確認を受けておくことをおすすめします。

(3)取引の規制がかかる契約

取適法やフリーランス法の対象となる取引では、明示すべき事項や支払期日などについて、法律上の義務があります。
自社が対象になるか迷う場合は、契約書を作る段階で弁護士に確認しておくと、後から取引条件を修正する手間を避けられます。

(4)人に関する書類

雇用契約書、労働条件通知書、入社時の秘密保持の誓約書、退職後の競業避止の合意などには、労働基準法をはじめとする労働関係の法令がかかわります。
特に競業避止の合意は、制限の範囲が広すぎると効力が争われることがあり、職種や立場に応じた個別の検討が必要です。したがって、ひとに関する契約書類については弁護士の確認を受けておくことをおすすめします。

(5)相手方から契約書案を示されたとき、トラブルの気配があるとき

相手方が作った案は、相手方の立場から作られているのが通常です。
また、支払の遅れや納品物への不満など、トラブルの気配があるときは、契約書の解釈が直接の問題になります。
弁護士に早い段階で相談すれば、取れる選択肢が多いうちに対応を考えることができます。

(6)自社で対応してもよい場面の目安

すべての契約書を弁護士に見せる必要はありません。
少額で一回限りの取引や、弁護士の確認を受けた自社の書式を、条件だけ変えて使う場合などは、自社で対応できることも多いと思います。
判断の目安は、次の2点です。
①この契約で問題が起きたとき、自社がどれだけの損失を負うか
②相手方が作った案か、自社の書式か
迷ったときは、まず弁護士に相談して確認が必要かどうかを確かめるのも一つの方法です。

 

5契約書作成でお困りの方は、弁護士法人森大輔法律事務所へご相談ください

(1)弁護士法人森大輔法律事務所の特長

弁護士法人森大輔法律事務所は、2015年に事業者・法人側の企業法務を中心とする法律事務所としてスタートしました。業種も規模もさまざまな100社以上の顧問先をサポートしてきた経験から、法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をご提供しています。
特にネット上の虚偽クチコミやハラスメントから企業経営を守りたいという思いからネット問題やハラスメント対策に力を入れて取り組むと共に、法務・労務の日常的なご相談に継続してお応えしております。
弁護士法人森大輔法律事務所では、女性弁護士を含むチームで対応しますので、女性社員からの聴き取り等にもご配慮できます。オンライン会議(Zoom)を活用して全国どこでも対応できるほか、事務所で対面でお会いし、資料を一緒に見ながらのご相談も歓迎しています。当事務所は東京・東銀座(歌舞伎座の向かい)にあり、東京メトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座駅」6番出口に直結していて交通の便が良いです。

(2)弁護士法人森大輔法律事務所ができること

弁護士法人森大輔法律事務所では、次のようなサポートをしています。
①契約書の新規作成
②取引先から示された契約書案の確認と、修正案の作成
③交渉方針のご相談
④お使いの雛形や書式の見直し
弁護士が取引の内容をお聞きしたうえで、自社の実態に合った契約書づくりを支援いたします。

(3)顧問契約で日常的に相談できること

弁護士法人森大輔事務所の顧問契約では、日々の疑問をチャットで気軽にご相談いただくことができ、ご希望に応じてお電話・Zoom・対面での打ち合わせも随時行っています。
契約書のほか、次のような分野も同じ弁護士チームご相談いただけます。
①労務:雇用契約書、就業規則、労働条件の明示などの整備、コンプライアンス研修
②商標:商品名やサービス名の調査・出願
③広告:景品表示法の観点から広告表現の確認
弁護士チームが法務の課題の整理から対応まで伴走いたします。

(4)費用の考え方とご相談の流れ

契約書の作成・確認にかかる費用は、一般に、契約書の種類や分量、条項の複雑さ、修正交渉の有無、納期などによって変わります。
顧問契約の場合は、月額の顧問料の範囲で対応する業務と、別途費用がかかる業務に分かれていることが一般的です。
弁護士法人森大輔法律事務所の料金は【こちら】をご覧ください。
ご相談の流れは次のとおりです。
お問い合わせ → 初回の打ち合わせ → ご提案 → 顧問契約の開始 → チャットでのご相談&必要に応じてお電話・Zoom・対面での打ち合わせ

(5)このような事業者様は、まずご相談ください

・幅広い法務・労務の相談にスピーディーかつ親身に対応できる顧問弁護士をお探しの方
・契約書のほか就業規則・ガイドライン・広告・商標などのリーガルチェックや社員向けコンプライアンス研修も弁護士に気軽に頼みたい方
このような方からのご相談もお待ちしております。
「この契約書、このまま押印してよいだろうか」と迷った際すぐに確認できる相手がいることは、事業を続けていくうえでの安心につながります。
ご相談のお申し込みは弁護士法人森大輔法律事務所のホームページで24時間いつでも受け付けております。
企業法務に詳しい弁護士が喜んで対応いたしますので、契約書や日々の法務・労務についてお気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせはこちら】

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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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