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親族内承継とは?メリットやデメリット、親族内承継の場合の流れについて弁護士が解説

1. 親族内承継とは

(1) 親族内承継の定義

会社の事業、すなわち、経営権(自社株式)、ヒト(役職員、取引先)、モノ(事業用資産)、カネ(資金)、経営理念・ブランド・知的財産権・技術力・ノウハウなど会社がこれまで築き上げてきた経営資源を後継者に引き継ぐことを「事業承継」といいます。
「親族内承継」とは、経営者の親族にあたる子どもや配偶者、兄弟姉妹、孫などに対して事業承継することです。

(2) 親族内承継と親族外承継・M&A(事業譲渡)との違いとは

かつて中小企業では「息子が父である社長の後を継ぐこと」が当然と考えられていました。
しかし、社会の意識変化により、最近ではそれが当たり前ではなくなりました。
その結果、事業の引き継ぎは、親族以外の社内人材を内部昇格させる「親族外承継」や、事業譲渡つまり第三者に事業を売却する「M&A」にシフトしてきております。
しかしそれでも、依然として3割以上は、子や孫など経営者の親族に対する「親族内承継」です。
親族内承継と親族外承継・M&Aとの違いは、誰に引き継ぐか、すなわち子や孫など経営者の親族が事業を引き継ぐのか否かです。

 

2. 親族内承継のメリットとは

(1)価値観・文化の継承

創業者や家業を受け継ぎ繋いできた経営者にとって、心血を注いで育ててきた会社は「自分の分身」。
ですから、その会社を我が子をはじめ親族に継がせたいというのは自然な思いです。
他方、経営者の背中を見て育ってきた子はじめ親族としても、会社に愛着を持っているものです。
そのため、M&Aと比べて、創業者の理念や企業風土が自然に引き継がれやすいというメリットがあります。

(2)準備期間の確保

後継者の育成には5年~10年かかると言われておりますが、特に我が子や孫の場合は、承継に向けた準備期間を確保しやすいです。
たとえば、我が子の場合、関連他社や子会社で社会人経験を積ませた後、30代になった頃から経営に必要な知識・スキルを社内において習得させるなどして、後継者として計画的に育成しやすいというメリットがあります。

(3)社内外の理解・受容

戦略的にジョブローテーション等の教育を経て育成された後継者の場合、経営者と共に事業に携わることによって各方面への根回しがしっかりできるので、取引先、従業員、金融機関に安心感を与え、人的ネットワークを維持しやすいというメリットがあります。

(4)税制上の優遇

親族内承継においては、「事業承継税制」など税務上の支援策を活用できるケースが多いです。
一定の要件を満たせば、贈与税や相続税の納税を猶予・免除されるので、後継者の資金負担をかなり軽減できるというメリットがあります。

 

3. 親族内承継のデメリット・注意点とは

親族内承継のデメリットは、血縁関係ゆえに相続ならぬ「争族」トラブルのリスクがあることです。
自社株式や事業用資産の分配をめぐって、後継者と他の相続人との間で意見が対立するリスクがあります。
たとえば、相続人に最低限補償されている法定の取り分である「遺留分」を侵害するような承継方法をとったケースでは、相続人から遺留分減殺請求の裁判を起こされて法的紛争に発展してしまうことがあります。
また、親族内承継をきっかけに、経営方針をめぐる不満が表面化して、これまで仲の良かった親族関係が険悪になってしまうことも少なくありません。
したがって、親子間・一族の意見調整(争族防止)に最大の注意を払うことがとても重要です。
経営者が元気なうちに「家族会議」を開催して、①経営方針、②後継者、③後継者に自社株式や事業用資産を集中するための遺言、生前贈与または株式譲渡の内容、④後継者以外の相続人に対する財産平衡の措置、⑤後継者の肩書・権限・報酬などについて、経営者が説明し、親族間で話し合って認識を統一したり決めたりしておくと良いでしょう。
「家族会議」は、親族内承継をスムーズかつ円満に進めるための本格的な第一歩として重要です。
それゆえ「家族会議」の段取りや司会進行を事業承継に詳しい弁護士へ依頼することによって円滑・円満な話し合いをして、親族間で合意した内容をふまえて「株主間契約書」「遺留分に関する同意書」「遺産分割協議書」「生前贈与契約書」「遺言書」など法律にあった形で文書化しておくことをお薦めいたします。 

 

4. 親族内承継における株式の承継方法とは

(1)相続・遺言による承継

「相続・遺言による承継」とは、経営者が死亡した際に、「遺言書」によって後継者である相続人が自社株式や事業用資産を取得して事業を引き継ぐ方法のことです。
相続に先立って、自社株式や事業用資産をひとりの後継者に集中させるために、経営者が所有する自社株式や、会社が使用している個人所有の土地など事業用資産を、特定の後継者に相続させる旨の「遺言書」を作成し、その内容を「家族会議」などの場で後継者はじめ相続人ら一族に説明し周知しておくことが有用です。
ただ、「相続・遺言による承継」の場合、「遺留分」の問題が残ります。
「遺留分」とは、民法上、相続人に最低限保障されている取り分のことです。
もし相続人から遺留分減殺請求の裁判を起こされて法的紛争になってしまうと、後継者は経営に集中できなくなってしまいます。
そこで、「遺留分」が円滑な事業承継を妨げることがないよう、国は「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」で「遺留分に関する民法特例」を規定しています。
「遺留分に関する民法特例」のうち自社株式を遺留分の対象から外す「除外合意」を活用すれば、他の相続人による遺留分侵害請求を阻止できるので、自社株式の分散を回避することができます。
相続による承継の場合には、前述の「家族会議」における話し合いの際に「遺留分除外の合意書」も作成しておくと良いでしょう。

(2)生前贈与による承継

「生前贈与による承継」とは、経営者が在任中に自社株式や事業用資産を無償で後継者に譲り渡すと意思表示し、後継者がこれを承諾することによって承継する方法です。
経営者が在任中に贈与税が過度に発生しないようなスケジュールを設定して、後継者へ段階的に引き継いでいけることがメリットです。
ただ、生前贈与の場合も、「遺留分」の問題が残ります。
この点に関して、経営承継円滑化法の「遺留分に関する民法特例」は、生前贈与を受けた株式の評価額を予め固定できる「固定合意」の制度を規定しています。
本来、生前贈与の後に、株式価値が後継者の経営努力によって値上がりした場合であっても、遺留分が「相続開始時の評価額」で計算されるため、兄弟たちの遺留分を引き上げることになってしまいます。
しかし「固定合意」の制度を活用すると、生前贈与を受けた株式の評価額を「合意時の評価額」で固定できるので、株式価値が値上がりした場合の遺留分を抑えることができるのです。
また、値上がり分についての相続税を考慮しなくてよいので、節税にもなります。
生前贈与による承継の場合には、前述の「家族会議」における話し合いの際に「遺留分固定の合意書」も作成しておくと良いでしょう。

(3)株式譲渡(売買)による承継

「株式譲渡(売買)による承継」とは、後継者が経営者や他の株主から株式を買い取ることによって自社株式を集約する方法です。
相続や生前贈与のような無償での承継ではないため、遺産分割や遺留分をめぐるトラブルを避けやすいこと、贈与税の問題を回避できることがメリットです。
ただ、後継者が株式の購入資金を自ら調達しなければならないため、評価額によっては多額の資金を用意しなければなりません。
また、契約書の作成や価格交渉、株式評価、定款に基づく譲渡制限の確認など、手続が複雑になりやすい点に注意が必要です。
さらに、株式は価値のある財産なので、税法上定められた方法で算出される価格よりも安く購入した場合には、贈与税を課されるリスクがある点にも注意が必要です。

 

5. 親族内承継における節税対策とは

家族会議において正式に後継者が決定することによって親族内承継が本格的にスタートしますが、株式を後継者が買い取るのであれば、後継者に株式の購入資金が必要になります。
また、生前贈与や相続によって株式を移転させるのであれば、後継者に贈与税・相続税の納税資金が必要となります。
いずれにせよ、親族内承継では、後継者が多額の株式移転コストを負担しなければいけない点が円滑な事業承継の大きなハードルになっています。
このような状況をふまえて、後継者に対して、一定の要件を満たせば贈与税・相続税が猶予されるという制度「事業承継税制」があります。
「相続税と贈与税の納税猶予制度」を組み合わせて活用すれば、相続のみならず生前贈与による株式の承継に伴う税負担を軽減することができます。
詳しくは、弁護士又は税理士にお問い合わせください。

 

6. 親族内承継を検討している経営者様は弁護士法人森大輔法律事務所へご相談を

(1) 弁護士への相談メリット

親族内承継を成功させるためには、早めの準備が大切です。
後継者を決定してから実際に承継が完了するまでには、後継者の育成、資産承継の調整、税務対策など多くのプロセスが必要となるため、少なくとも3年、できれば5年~10年の時間をかけて計画的に余裕をもって進めると良いでしょう。
そして、親族内承継においては、親子間・一族の意見調整(争族防止)が最大の難所です。
親族内承継をスムーズかつ円満に進めるためには、後継者以外の親族にも配慮をして話し合いを重ねたうえで、親族間で合意できた内容を法律にあった適切な書面に残していくことがとても重要です。
成功の秘訣は、弁護士や税理士など専門家の協力を早い準備段階から得ておくことです。
たとえば、弁護士であれば法的な観点から「なぜそのプロセスが必要なのか」を伝えることができるので、「家族会議」において感情的にならずに冷静な意見交換や決定ができます。
また、家族同士では直接聞きづらいことであっても、弁護士であれば守秘義務のある専門家として聴取したうえで、法的な観点からアドバイスすることができます。
事業承継についてご不明点やご不安なことがございましたら、速やかに事業承継に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
事業承継を弁護士に依頼するメリットは?サポート内容について解説の記事もぜひご覧ください。

(2)弁護士法人森大輔法律事務所への相談メリット

弁護士法人森大輔法律事務所は、2015年に企業法務メインの法律事務所としてスタート以来、業種も規模もさまざまな100社以上にわたる顧問先のリーガル・コンサルタントとして数多くの企業事例を取り扱ってまいりました。
法律の枠を超えた「経営を守る生きた知恵」をも提供し、事業承継支援サービスにも力を入れている法律事務所です。
「100年続く企業を共に創る」をパーパス(存在意義)として掲げ、法的リスクを排除し「経営」「事業の精神」をより強固な形にして次世代へ安心して託せるように、親身かつレスポンス良く貴社の事業承継をサポートしてまいります。
弁護士法人森大輔法律事務所は、経営者様の想いを汲み取り、後継者様を支えて、貴社が100年続く企業となるための「最良のパートナー」として共に歩み続けます。
M&Aを含む事業承継支援サービスのご案内について、以下の記事でわかりやすく説明しておりますので、ご参照ください。

弁護士法人森大輔法律事務所では、複数の弁護士+税理士によるチームでご依頼に対応します。
事業承継の手続でも、事業承継前後の日常業務でも、複数のプロによる手厚いサポートを受けることができるので、安心です。
・後継者への事業承継や「家族会議」でお悩みの方
・いつか事業承継したいが、何から始めるべきか困っている方
・幅広い法務・労務の相談・研修にスピーディーで親身に対応できる顧問弁護士が必要な方
・商標、契約書、広告などのリーガルチェックも気軽に頼める顧問弁護士がほしい方
弁護士法人森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでも相談できます。
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事業承継・企業法務に詳しい弁護士が喜んでスピーディーに対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
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森大輔法律事務所は、東京・東銀座(歌舞伎座の正面)にあります。
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森大輔

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

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