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社員インフルエンサーのトラブル急増!炎上・退職・機密漏洩が起きた際に企業が取るべき法的措置
社員インフルエンサーのトラブル急増!炎上・退職・機密漏洩が起きた際に企業が取るべき法的措置
Contents
1.社員インフルエンサー起用で急増する企業トラブルと被害実態
(1)企業の法的責任
(2)退職・告発
(3)機密情報の漏洩
2.退職時の「アカウント所有権」や「フォロワーの権利」を巡る法的課題
(1)アカウントの所有権
(2)社員インフルエンサーの権利
(3)企業の対処法
3.不適切投稿や会社批判で炎上した場合の法的責任と緊急初動対応
(1)社員インフルエンサーの法的責任
(2)企業の法的責任
(3)緊急初動対応の手順
4.会社の損害を防ぐための法的措置(アカウント回収・損害賠償・差し止め)
(1)アカウント回収
(2)損害賠償
(3)差し止め
5.まずは弁護士にご相談ください
1.社員インフルエンサー起用で急増する企業トラブルと被害実態
「社員インフルエンサー」とは、一般的に、SNSなどで多くのフォロワーに影響力を持つ
インフルエンサーとしての側面を持つ自社従業員のことを指します。企業や商品のブラン
ディングや販促などが期待されています。
社員インフルエンサーのトラブルは、個人のSNS投稿における問題のように見えますが、
実際には、企業がその従業員の顧客誘引力を利用し、自社の商品やサービスの情報を発信
させるので、企業の管理責任、労務問題および広報危機管理の問題が同時に発生します。
そのため、企業は、社員インフルエンサーのトラブルによって
(1)法的責任
(2)社員
の退職・内部告発の誘発
(3)情報漏洩などの被害を被るリスクがあります。
(1)企業の法的責任
社員インフルエンサーのSNS投稿が広告・PRの一部である場合、企業側に表示責任が及び
ます。2023年10月より施行された規制において、企業が「社員へお願いしたSNS告知協力」も「事業者の表示」に含まれると規定されています。したがって、企業からの依頼や指示があるにもかかわらず、「広告」「PR」などの明示をせず、あたかも社員インフルエ
ンサー個人の純粋な感想であるかのように装って投稿を行わせると、景品表示法上の「ス
テマ行為」として規制の対象になり、広告主である企業が法的責任を問われることになり
ます。
また、社員インフルエンサーによる投稿内容に「優良誤認」や「有利誤認」を招く不適切
な表現があった場合、広告主である企業自身が景品表示法違反の責任を問われる可能性が
あります。
(2)退職・告発
基本的に、社員個人の名前と顔を表に出してインフルエンサーになってもらう以上、強制
での指名はもちろん、「やれるのは君しかいない」という暗黙の了解を押し通して実質的に半強制で役割を担わせ、任せた後に育成やフォローもしない場合には、上司によるハラ
スメントや過重労働の労務問題となりかねません。
上司は「快く引き受けてくれた」と思っていても、本人は「実はやりたくなかった」とい
うケースは意外に多く、社員の退職につながるリスクがあります。この問題がこじれると、社員インフルエンサーの企業や業界に対する不満がネット上で告発されて炎上(拡
散)し広報危機管理の問題も発生する可能性があります。
(3)機密情報の漏洩
社員インフルエンサーが仕事の延長として撮影する際、社内にあるホワイトボードや図
面、パソコン画面、打ち合わせ風景など社内の情報が意図せず映り込んで、企業秘密や顧
客情報が世間(外部)に漏れてしまうことがあります。
投稿が業務の一環として行われ、他者の肖像権侵害等の不法行為が生じた場合、企業は民
法上の使用者責任に基づいて損害賠償責任を負うリスクがあります。
情報の漏洩によって企業の社会的評価や信用が低下した場合、社員インフルエンサーに対
する就業規則に基づく懲戒処分や損害賠償の問題にも発展する可能性があります。
2.退職時の「アカウント所有権」や「フォロワーの権利」を巡る法的課題
社員インフルエンサーが退職する際、アカウントやフォロワーを企業側に引き継がないま
ま持ち去ってトラブルになるケースも見受けられます。
(1)アカウントの所有権
①個人アカウントの場合
社員インフルエンサーが使用するSNSアカウントが「個人アカウント」である場合、その
利用は私生活上の事柄で個人の所有ですので、企業が業務命令によって登録や投稿を強
したり、その内容を制限したりすることは原則として困難です。
但し、私的アカウントであっても企業の公式のものと誤解される表現を禁止するなどのガ
イドラインを設けておくことが重要であると思います。
②公式アカウントの場合
一方で、企業が管理・所有する「公式アカウント」を特定の社員に運用させている場合、
社員インフルエンサーとなった担当者がアカウントを私物化して、DMなどを通じてフォロワーと不適切な私的交流を行うなどのリスクが生じ得ます。このようなリスクについて
もガイドラインを設けておくことが重要であると思います。
また、特定の社員に依存した運用を長期間行っていると、その社員インフルエンサーの退
職によってアカウントが事実上、変質してしまうことにもご注意ください。
(2)社員インフルエンサーの権利
社員インフルエンサーの氏名や顔写真は「個人情報」に該当し、かつ「肖像権」による保
護の対象となります。
企業が雇用管理や広報目的で取得した社員の情報は、退職によってその取得目的が消失し
ます。そのため、社員インフルエンサーが退職した後も企業の公式アカウントにおいて引き続き社員インフルエンサーの顔写真や動画を掲載し続けることは、個人情報保護法上の「利用目的外の取り扱い」として違法とされる可能性があります。社員インフルエンサー本人が公表を望まない場合には写真を削除するのが原則であり、肖像権侵害を理由に公開
の差し止め(削除)を請求されるリスクがあります。
(3)企業の対処法
社員インフルエンサーが退職した後のトラブルを回避するためには、予防法務としてあら
かじめ「同意書」の取得、「ガイドライン」の作成などの措置を講じておくべきです。
①「同意書」の取得
動画や写真の利用範囲(企業の公式YouTubeにおける掲載の継続など)を明確にした「同
意書」を作成しておくことで、社員インフルエンサーの退職後も同意の範囲内であれば掲載を継続できる法的根拠を確保できることになります。ただし、同意があっても本人から
削除要請があった場合には、慎重な検討が求められることになります。
②「ガイドライン」の作成
企業側でSNSポリシーやガイドラインを策定し、公式アカウントと個人アカウントの区
分、退職時や異動時のアカウントやフォロワーの引き継ぎ、情報の取り扱いについて明確なルールを定めておくと良いと思います。具体的な内容につきましては、各企業の実情に
応じて異なりますので、お気軽に弁護士にお問い合わせください。
3.不適切投稿や会社批判で炎上した場合の法的責任と緊急初動対応
(1)社員インフルエンサーの法的責任
①民事責任
第三者(他者・他社)や会社に対する名誉毀損、信用毀損、プライバシー侵害等に基づく
損害賠償責任を負います。
また、企業から社員インフルエンサーに対して、被った損害の賠償請求がなされることも
あります。
②刑事責任
投稿内容が第三者や企業の名誉等を毀損する場合、刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪に該当す
る可能性があります。
③社内責任
就業規則等に基づき、企業の社会的評価を低下させたこと等を理由として懲戒処分の対象
となります。処分にあたっては、非行が企業秩序と直接の関連を有するか、客観的に評価
が低下するおそれがあるかが判断基準となります。
(2)企業の法的責任
社員インフルエンサーによる投稿内容が「優良誤認」や「有利誤認」を招いたりPR表示を
欠いていたことで不適切であった場合、広告主である企業が景品表示法違反の責任を問わ
れます。
また、社員インフルエンサーの不適切投稿による第三者(他者・他社)への名誉毀損やプ
ライバシー侵害などの不法行為が業務に関連して行われた場合、民法の使用者責任に基づ
いて企業も被害者に対して損害賠償責任を負うことがあります。
(3)緊急初動対応の手順
社員インフルエンサーの不適切投稿や会社批判による炎上が発覚した際、企業としては騒
動を早期に収束させるため直ちに適切な対応をする必要があります。
①投稿の削除
社員インフルエンサーによる不適切投稿や会社批判の投稿が発覚した場合は、直後は、投
稿の内容・日時・URLをスクリーンショット等により証拠として保存し、拡散状況を確認
します。
そのうえで、社員インフルエンサーに対して削除するよう求めます。投稿の削除は、業務用の公式アカウントであれば業務命令として可能ですが、個人アカウントの場合は、就業規則等の根拠規定がない限り、業務命令による削除強制は困難となる場合があります。そのため、あらかじめSNSガイドラインやSNS利用管理規程等を策定して、企業が投稿管理や不適切な表現の削除を命じることができる旨を明文化しておくことが重要です。万一、個人アカウントのケースで削除に応じない場合には、SNS管理者への削除要請等を検討し
ます。
②事実調査とヒアリング
社員インフルエンサーおよび管理監督者から経緯を聴取し、証拠となる周辺情報を収集し
て裏付けをとります。
③広報対応の一元化
社内情報の錯綜を防ぐため、対応窓口を広報担当者などに一本化して、確実な事実に基づ
いた公式表明を行います。
④公表と謝罪
事実調査の結果に基づいて、社会的評価の毀損が甚大なケースなどでは、企業の信用回復
のためにプレスリリース等を通じて事実関係の公表と謝罪を行います。但し、個人情報に
関わるような場合は、主体者との協議も必要です。
⑤責任追及と再発防止
調査結果を受け、社員インフルエンサーや管理監督者に対する懲戒処分や損害賠償請求を
検討します。また、管理体制の強化したり社員教育を徹底したりすることで再発防止策を
講じます。
4.会社の損害を防ぐための法的措置(アカウント回収・損害賠償・差し止め)
(1)アカウント回収
①公式アカウントの場合
企業の業務命令に基づく社員インフルエンサーによるアカウントの運用は、私生活上の行
為ではなく業務の一部とみなされます。
このため、企業は業務遂行の過程として投稿管理を行ない、必要に応じてアカウントを回
収することが可能です。
②個人のアカウントの場合
これに対して、社員個人のプライベートなアカウントの場合、会社が介入してアカウント
を回収することは困難であると思われます。
(2)損害賠償
社員インフルエンサーの不適切投稿や機密漏洩により、企業に休業損害、信用毀損などの
損害が発生した場合は、企業は社員インフルエンサーに対して不法行為や債務不履行に基
づく損害賠償を請求することができます。
ただし、裁判例に鑑みると、従業員への請求は「損害の公平な分担」という信義則上の観
点から、相当と認められる限度に制限される傾向にあります。特に、過失による投稿の場合は制限されやすいですが、故意による悪質な漏洩等の場合は相応の賠償が認められる可
能性があります。
また、予見可能な損害が賠償対象となるため、企業における教育の実施状況が「予見可能
性」の判断に影響してきます。したがって、日常的にSNS社内セミナーなどを開いて社員
教育をしておくことが企業の損害の予防として重要となります。
(3)差し止め
社員インフルエンサーによる不適切な投稿が会社の名誉や信用を毀損する場合は、法的措
置として、民法上の名誉毀損行為に基づいて差止請求を行うこともできます。この措置は、社員インフルエンサーが投稿の削除に応じない場合、投稿の拡散による損害の拡大を
防ぐために講じられます。
実務上の対応としては、社員インフルエンサーによる不適切な投稿が発覚したら速やかに
スクリーンショット等で内容を保存して、まずは自ら投稿を削除して公式アカウントでの
投稿を停止するよう指示することになります。
なお、社員個人のプライベートなアカウントによる投稿の場合、就業規則等の根拠規定が
なければ、単なる業務命令として削除を強制することは難しいと解されるため、事前の規
程整備が重要となります。
5.まずは弁護士にご相談ください
社員インフルエンサーによる炎上・退職・機密漏洩などのトラブルが起きた際は、速やか
に証拠を保全したうえで、弁護士に相談して適切な法的措置をとることが企業の損害を最
小限に抑えるために重要であると思います。
弁護士法人森大輔法律事務所は、2015年に企業・経営者側の立場に特化した企業法務
メインの法律事務所としてスタートして以来、業種も規模もさまざまな100社以上にわたる顧問先のリーガル・コンサルタントとして数多くの企業事例を取り扱い、法律の枠を
超えた「経営を守る生きた知恵」をもご提供している事務所です。
我々は、日本経済を支える企業の経営を守りたいという想いから、インターネット(SNS
)トラブル、誹謗中傷クチコミ、景品表示法の広告規制などの問題に力を入れて取り組ん
でおります。
それゆえ、SNSトラブルへのスピーディーな対応はじめ、「景品表示法を学ぶ社内セミ
ナー」「インターネットトラブルを防ぐ社内セミナー」などのセミナー(研修)開催、社内規程や就業規則の整備など、企業・経営者側の立場で適切な対策をとることができま
す。
・社員インフルエンサーの取扱いについて悩みを抱えている方
・労務トラブル、問題社員への対応でお困りの方
・ネットでの誹謗中傷・風評被害など悪質な投稿に頭を悩ませている方
・幅広い法務・労務の相談にスピーディーで親身に対応できる顧問弁護士が必要な方
・社内マニュアル、ガイドライン、契約書、広告、商標などのリーガルチェックや社内セ
ミナー(研修)も気軽に頼める顧問弁護士がほしい方
弁護士法人森大輔法律事務所のホームページから24時間いつでもご相談できます。
【ご相談はこちら】
ネットトラブル、景品表示法、労務問題などに詳しい弁護士が喜んで対応します。
女性弁護士を含むチームによる対応も可能です。
オンラインWeb会議ツール(ZOOM)を活用して、全国どこでも対応できます。
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この記事を書いた人
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2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。
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