顧問先企業の従業員が起こした事件における解決事例

「危険運転致死罪の成立を認めることは出来ない」と判断されました

 既に新聞等でも報道されておりますとおり、当法律事務所の高原崇仁弁護士が主任弁護人となっていた裁判員裁判の危険運転致死罪の事件(さいたま地方裁判所)で、当法律事務所の主張が認められ、危険運転致死罪の適用が退けられました(平成29年3月21日判決言渡し)。(本件事件は、高原弁護士の顧問先会社の従業員の方が起こしてしまった事件で、顧問先会社からご依頼の連絡を頂きました。)

 公判では、既に報道されておりますとおり、「赤信号を殊更に無視」して交差点に進入したのかどうかが問題となりました。検察官は、車両が交差点のどの信号のタイミングで進入したかについて、本件交差点を挟む二地点の防犯カメラの映像(時刻表示があるもの)を、時刻を特定するために証拠請求しました。一般に、防犯カメラに表示されている時刻は正確ではありませんので、防犯カメラが証拠となる場合には、防犯カメラの時刻補正を行い、その時刻補正作業を証拠化する必要があります。本件では、捜査機関が、一回目の時刻補正を行いましたが不正確であったため、二回目の時刻補正を行っていたことが分かり、弁護人は、その他証拠から、時刻補正が不正確であると主張しました。

 さらに、証人尋問により、捜査機関が一回目の時刻補正の誤りがどういう原因で生じたか正確な検証をしないまま二回目の時刻補正を行っていた経緯を明らかにすることができました。そのため、裁判所は、時刻補正自体の正確性についての疑念が解消されるとはいえないとして、その証拠の信用性を否定しました。これにより、被告人が運転する自動車がどの信号のタイミングで交差点に進入したかは不明となりました。(なお、もし正確な時刻補正が行われていれば、むしろ被告人が本件交差点を赤信号で侵入していないことが明らかとなった可能性があることから、時刻補正が不正確であったことは被告人にとっても大変不幸なことといえます。)

 また、目撃証人の一人が、要旨、被告人が運転する車両が交差点に進入する時点よりかなり手前の時点で赤信号であったこと、それにもかかわらず交差点に進入したことを証言しました。目撃証人の過去の供述と有意義に変遷していることを弁護人が主張したところ、裁判所は、目撃者の証言の一部について信用するには疑問が残ると判断しました。

 本件事件は、これらの弁護活動が効を奏し危険運転致死罪の適用が退けられました。

 刑事弁護では、99%が有罪であると言われておりますが、市民の感覚を取り入れた裁判員裁判では少しずつそのような状況に変化が起きているように感じました。また、捜査機関に対しても市民の視線が向けられるようになってきているのではないかとも感じております。今回の事件を通しまして、当法律事務所と致しましても、改めて弁護人としての役割の大きさ、そのやり甲斐に気付かされました。

 引き続き、当法律事務所では、刑事事件も含め、顧問先会社の事件、事故、不祥事等にも万全の体制で対応していく所存です。

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